本当に評判がいいビジネス書はどんな本か。グロービス経営大学院とフライヤーは2月、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」を発表した。2023年12月から2024年11月の間に日本国内で刊行された書籍152冊を対象に、読者による投票を行ったものだ。その結果を紹介しよう――。
笑顔のマークが描かれた5本の指
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」受賞作

総合グランプリ:『部下をもったらいちばん最初に読む本』(橋本拓也著、アチーブメント出版)
イノベーション部門賞:『イシューからはじめよ[改訂版]』(安宅和人著、英治出版)
マネジメント部門賞:『部下をもったらいちばん最初に読む本』(橋本拓也著、アチーブメント出版)
経済・マネー部門賞:『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(嶋村吉洋著、PHP研究所)
自己啓発部門賞:『あっという間に人は死ぬから』[佐藤舞(サトマイ)著、KADOKAWA]
リベラルアーツ部門賞:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆著、集英社)
ビジネス実務部門賞:『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』(今井孝著、すばる舎)
<特別賞>10年を彩るビジネス書:『学びを結果に変える アウトプット大全』(樺沢紫苑著、サンクチュアリ出版)
<特別賞>グロービス経営大学院賞:『チームレジリエンス』(池田めぐみ/安斎勇樹著、日本能率協会マネジメントセンター)

マネジャーに必要な「技術」が詰まった一冊

総合グランプリとマネジメント部門賞をダブル受賞したのは、アチーブメント株式会社の取締役営業本部長であり、トレーナーでもある橋本拓也さんの『部下をもったらいちばん最初に読む本』でした。

橋本拓也『部下をもったらいちばん最初に読む本』(アチーブメント出版)
橋本拓也『部下をもったらいちばん最初に読む本』(アチーブメント出版)

部下とのコミュニケーションがうまくいかない、自分の指示が相手に響いていない感じがする、部下の「本気」を引き出したい……と悩むマネジャーにぴったりの一冊です。

マネジメントを始めたばかりの頃の橋本さんは、メンバーとの信頼関係を築けず、思うような成果も出せなかったそうです。ですが、選択理論心理学を基盤にした「リードマネジメント」の手法を取り入れたところ、部下との関係性が変わり、組織を飛躍的に成長させることができました。

本書では、橋本さんが取り入れた「リードマネジメント」の5つの技術について、具体的に明かされています。

最初に知ってもらいたいのは、5つの技術のうちの「リーダーシップの技術」。この技術のカギとなるのは、人は生まれながらに5つの基本的欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)を持っていることと、これらの欲求には人それぞれに強弱があること。「Aさんは生存欲求が強いが、Bさんは楽しみの欲求が強い」などと把握し、その傾向に合わせてコミュニケーションを取れば、相手はあなたの指示をスムーズに受け入れてくれるようになるでしょう。

マネジャーに必要な技術が丁寧に言語化されている本書。一冊読み通せば、これまで悩んでいたのが嘘のように、部下とのコミュニケーションが変わるでしょう。