かえって寿命が縮んでしまった
この点、フランスの研究グループがマウスにおいて加齢とともに肝臓に多数出現する老化した血管内皮細胞をさまざまな方法で除去したところ、いずれの場合にも、血管が漏れやすくなり、このために肝臓の線維化が起きて、かえってマウスの寿命が短くなっていました。
肝臓の血管内皮細胞は、血管のバリアとして働くだけでなく、ウイルスなどの病原体やその産物を取り込んで不活化するという自然免疫細胞としての機能もあります。したがって、単に老化したから除去するというやり方をすると、かえって組織の恒常性が保たれなくなってしまうかもしれません。
もしかすると老化細胞の役割(機能的意義)はわれわれが思っていたよりも複雑で、組織や細胞の種類によって異なる可能性があります。
※1 https://covid19.mhlw.go.jp/
※2 https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
※3 Nat Aging, 1(12):1117, 2021.