「さようなら…。」の後味の悪さ
23日付の「ご報告」は、「さようなら…。」と結ばれている。
「ご報告」という事務文書として書かれているはずなのに、なんとも締まりが悪い。報告するための文章を「…。」で終えたら、少なくとも、公的機関では、添削されるに違いない。
私は、この「…。」に文句をつけたいのではなく、誤解を恐れずに言えば、心配している。本人の強い意志なのかもしれないが、それでも、引退の「ご報告」の末尾にしては、あまりにも稚拙ではないか。中居氏本人以外の第三者が、少しでも目を通せば、変わっていたのではないか。それほどまでに、中居氏は「はだかの王様」になっているのではないか。
歌詞にあるように、大目に見てもらえる、というか、孤立している様子が想像される。
中居氏の「…。」に込められた意味を、あれこれと詮索するよりも、彼の「お詫び」の前史を思い出そう。「公開処刑」と言われた、あの映像である。
いまから9年前、2016年1月18日に関西テレビ・フジテレビ系列で生放送された「スマスマ」(「SMAP×SMAP」)の「謝罪」である。
9年前の「スマスマ」との共通点
真っ黒なスーツに白いシャツ、ネクタイの色こそバラバラなものの、木村拓哉氏(シルバー)以外の4人は、みなダークカラーだった。黒い緞帳と、白い床の上で、5人が横一列になり、両手を臍の下で組み、直立不動でしゃべり始める。
内容は、その5日前に出された「SMAP解散」の一報を受けて、騒動を謝り、活動継続を表明するものだった。
木村氏の長いあいさつを受けて、稲垣吾郎氏、香取慎吾氏と続き、中居氏は、次のように発言している。
時間にして20秒程度だった。冒頭からの50秒と、しめくくりの20秒のあわせて1分10秒ほど発言した木村氏の3分の1に満たない、きわめて短いものだった。
注目すべきなのは、文字起こしでは「えー……。」とした、深いため息である。いかにも不服そうに、いやいやながら「謝罪」させられている、そうした空気を色濃く滲ませた態度と言えよう。
今回の「ご報告」を「…。」で終わらせたのは、中居氏にとって、あの9年前の「謝罪」と同じか、それ以上に、不本意というか、言いたいことを言い切れなかった、という消化不良の賜物だったのではないか。