唐突ですが、あなたに、友人は何人いますか?

単なる知り合い、というだけではなく、安定した関係を保ち、困ったときには助けてくれるような、そんな友人が、どれくらいいますか?

英国の人類学者、ロビン・ダンバー氏が、興味深い研究をしている。大脳新皮質の大きさから見て、1人の人間が安定的に関係を保つことのできる友人の数には上限があるというのである。

ダンバー氏は、さまざまな猿、類人猿について、脳の大きさと群れの大きさの関係を調べた。その結果、大脳新皮質の割合が大きいほど、群れも大きくなるという関係を見いだしたのである。

人間の大脳新皮質の大きさから予測される、安定して関係を保てる「友人」の数は、約150人。この上限のことを、「ダンバー数」と呼ぶ。

なぜ、脳の容量で友人の数が決まるのか? 知り合いが多くなるほど、関係性は複雑になる。相手によって、自分の態度を変えなければならない。また、「この情報を、彼は知っているけれども、彼女は知らない」というように、情報の管理を巡る状況も、複雑になっていく。

友人の数が多くなるほど、その関係を整理し、的確に行動するための脳の負担も増えてくる。従って、大脳新皮質の大きさによって友人の数の上限が決まってくると考えられるのである。

ダンバー数は、脳の容量から見た友人の数の「上限」であり、ほとんどの人はこの容量を、使い切っていない。自分の友人の数はダンバー数よりも小さい、という人は、友人のネットワークを増やすことを考えてみてはどうか。