「売春禁止」の台湾で女性に人気の副業
台湾では売春の取り締まりが非常に厳しい。売春目的のSNSも存在はするが、摘発のリスクが高く、日本のように「立ちんぼ」となるケースは多くない。
現地の若者に人気の副業を聞いてみるとライバー(中国語で「直播主」)という答えが返ってきた。日本ではまだあまり定着していないが、台湾では近年、人気なのだそうだ。ここでいうライバーとは、日本で思われているような雑談やゲームをする配信者ではなく、ライブコマースの売り主のことを指す。企業から依頼を受けた商品の良さなどを生放送で語り、視聴者からの質問などにも答えて購買につなげる仕事だ。
普段飲食業界で働きながらライバーをしている20歳の女性周さん(仮名)に話を聞くことができた。周さんは台北市内で友人とルームシェアしながら暮らしている。本業の月給は2万5000元(約11万2500円)だ。貯金はほぼないという。
「1回のライブ配信は1〜3時間程度で、時給で計算されます。最低保証の時給は300元(約1450円)で、商品が売れると売り上げの5〜10%ほどのコミッション料が入ります。ただ、私はまだ始めたばかりなので一番最低のものです。時給やコミッション料はフォロワー数や貢献度によって違ってきます。中には1時間で8000元(約3万7000円)から1万2000元(約5万5000円)稼ぐ人もいると聞きますが、私は、週末に2時間程度で、売り上げも全然。稼いで月に3000元(約1万3500円)程度です。なかなか厳しい仕事だと感じます」
他のライバーの女性が「104人力銀行」というサイトを教えてくれた。そこには、副業ライバー募集の求人が整然と並んでおり、競争力の高さがうかがえる。募集はほとんどが出来高制で、本人のやる気と実力次第といったところのようだ。
先の周さんは語る。
「ネット上に顔を晒すリスクと天秤にかけると割に合わないので、もうやめようかと思っています」
「副業」で月収27万円を稼ぐ女性も
逆に、すでに副業の域を超えて稼いでいるのが、普段EC業界で働きながらライバーをしている30歳の女性、eleyさん(仮名)だ。
「月に5万〜6万元(約22万5000円〜27万円)ほど稼ぎます。ライバーの醍醐味は、商品のセールスポイントを理解し、リアルタイムで活発な雰囲気で商品を販売することです。お客さんが『おすすめされた商品が気に入った』と言ってくれたり、売り上げ目標を達成できたときは、お金では買えない喜びを感じます。逆に、大変なのは、体力を消耗することで、売り上げ目標を達成できないとプレッシャーが大きく、ある程度のストレス耐性がないと辛い仕事かもしれません」
だが、eleyさんのように大きく売り上げを伸ばすことができるのはほんの一握りだ。副業での一獲千金を夢見てたくさんの台湾の若者がライバーに手を出すが、思ったように稼げず、周さんのように脱落していく人は多い。