アダストリアの前身はジーンズカジュアル店
グローバルワークに限らず、アダストリアにはジーニングカジュアル(ジーンズを基調としたカジュアル)からスタートしたブランドが少なからずあります。ローリーズファームしかり、レイジブルーしかりです。理由は、アダストリアの前身が「ポイント」という名のジーンズカジュアル専門店チェーンだったからです。
先ごろ買収が発表されたライトオンやマックハウスに代表されるように、ジーンズカジュアル専門店チェーンという分野は凋落が目立っています。その一方で、取扱い商材を変えて生き残った元ジーンズカジュアル専門店チェーンも存在します。その代表が都心型セレクトショップとなったアーバンリサーチであり、SPA型大手となったアダストリアなのです。SPAとは、アパレル商品の企画・開発から製造、販売までを一手に行うビジネスモデルを指します。
ポイントがSPAにシフトするきっかけとなったのは、97年頃にローリーズファームをSPA化したことです。SPA化を機にローリーズファームに一躍火が付いたことで自信を深めたと考えられます。
「キレイ目」のアイテムが増えた
茨城県を拠点としたポイントは、筆者にとってあまり馴染みのあるブランドではありませんでした。個人的な思い出を語らせてもらうと、95年に大阪市内のターミナル駅の一つであるJR天王寺駅に天王寺MIOというファッションビルが開業した際、5階のメンズフロアに「ポイント」が出店していたのが、ポイントを知った最初になります。
当時のポイントは「リーバイス」のジーンズや「ディスカス」のTシャツなどを仕入れて販売する「普通にありふれた」ジーンズカジュアル店でした。
2000年頃のことだったと記憶していますが、一顧客にとっては突然それらのブランド物が廃止され、自社オリジナル製品だけになったのです。商品のテイスト自体は従来型のアメリカンカジュアルでしたが、慣れ親しんだブランド品ではなくなったので、当初戸惑いました。価格は高くはないのですが、それでも見知ったブランド品ではない商品なので買うのをためらいました。
これはMIO店に通っていた当時の筆者の肌感覚ですが、店頭を見ているだけでも、オリジナルに変えた当初は相当に売れ行きが悪かったのではないかと推測されます。いつ見ても客入りは悪く、商品は減っている様子がありませんでした。夏・冬のバーゲン時期には一気に値下げしていたので、相当に在庫を抱えていたのだと思います。
商品の出来栄えもブランド品に比べると荒さが目立っていました。使用生地も等級が低そうに見え、縫製も粗雑でした。しかし、徐々にその辺りは改善され、店名が「ポイント」から「レイジブルー」に変わってからはアメカジからも脱却し始めました。
その「レイジブルー」のアメカジ脱却から何年か後に「グローバルワーク」もアメカジブランドではなくなり、今のような商品群に変わりました。先に述べたような色落ちしたダメージ加工のジーンズなどから、仕事でも履いていけるような淡い色のスラックスなど、いわゆる「キレイ目」のアイテムに移ったわけです。
一顧客として見てきた変遷はこんな感じです。