「1号店は大盛況ですね。これから2号店、3号店と次々に出店することになると、マネジャークラスの人材を社内で育成するのも大変ですよね」
この仮説が正しければ、顧客をハッとさせるような提案へとつなげていくことができるだろう。一方、仮説が間違っていたとしても落ち込む必要はない。
そもそも課題の仮説は、ヒアリングで顧客の課題に切り込むきっかけとして活用するためのもの。もし見当外れでも、「人は足りている。いま足りないのはむしろ仕入れ先」と反応があって、別の課題発見につながっていくかもしれない。いずれにしても具体性のある仮説をぶつけることで、「何か困ったことは?」という問いかけより、ずっと課題に迫りやすくなるはずだ。
営業担当者に意識してもらいたいのは、表層的な問題解決ではなく、その奥に潜む課題の発見だ。顧客の要望に即座に反応する前に、「なぜ顧客はこうした問題を抱えているのだろう」と一段深く考えて、仮説を立てていく。そうやって顧客のことを深く理解することが、ターゲットの攻略につながるのである。
(※本記事は『諦めない営業』(横田雅俊著、プレジデント社)からの抜粋です。)
(構成=村上 敬)