ブックオフの狙い

たとえば、高級ブランドとして出発したアルマーニは、消費者のニーズの変化に合わせて、より廉価でアヴァンギャルドなブランドである「エンポリオ・アルマーニ」を出した。さらに、消費がファストファッション化していく中で、より素早くトレンドを追いかけるような「アルマーニ・エクスチェンジ」を生み出し、まさしく時代の変化に合わせてブランドのありようを見直しながら、存続と発展を続けてきたのである。

この「一時的優位」の視座からすれば、ブックオフが何を狙いとしているか、分かってくるだろう。同社は、本が読まれなくなる時代に合わせて、いま、新しい時代に合わせた業態転換を図っているのである。

都心の小型店舗をスクラップし、アパレルを取り扱う複合店「BOOKOFF PLUS(ブックオフ プラス)」(平均売場面積約300坪)、さらにブランド品、ベビー用品・腕時計・ブランドバッグ・貴金属・食器・雑貨等を取り扱う大型複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR(ブックオフ スーパー バザー)」(同950坪)を郊外大型店舗として展開することで、時代に適合し、業績を改善しているのである。

宮の沢ショッピングセンター(札幌市手稲区)
宮の沢ショッピングセンター(札幌市手稲区)(写真=RJD/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

依然として書籍・ゲームは強いが

その様子は店舗の内訳に一目瞭然である。2018年3月期をみると、ブックオフ699店舗、ブックオフ プラス55店舗、ブックオフ スーパー バザー41店舗となっている。

2024年5月期では、ブックオフ619店舗(-80)、ブックオフ プラス68店舗(+13)、ブックオフ スーパーバザー48店舗(+7)となっているのだ。

さらに興味深いのは、「スーパー バザー」へのシフト以外にも、次なる変化を見据えた準備は怠りなく進められている。トレーディングカード専門店事業、おかたづけ事業、CDプラリサイクル事業などである。

またグループ内では、ブックオフだけではリーチし切れない顧客層をターゲットに、USEDブランドのファッションアイテムを販売する「hugall(ハグオール)」、ジュエリーのリペアなどを行う「aidect(アイデクト)」という事業を始めている。

ブックオフ事業(国内直営既存店)において売り上げの約半分(47.1%)は、いまだ書籍とソフトメディア(音楽、ゲームなど)が占める。それでも同社は、旧来の本を主として扱う通常のブックオフの閉店を進めつつ、それ以外の品を幅広く取り扱う大型店舗化を推し進めていることがわかる。