筋肉量が少ない女性が注意すべきこと

男性に脳卒中の割合が多く、女性に少ないのは、「内臓脂肪」の蓄積も原因の1つだと考えられます。男性は、内臓脂肪が30代〜40代ごろから蓄積し始める人が増えます。内臓脂肪は一定量以上になると、血圧や血糖などを上げる効果があり、それが脳卒中のリスクにつながってしまうのです。

一方女性は、内臓脂肪がたまり始めるのが閉経後の50代ごろからと遅めである場合が多く、結果として介護につながるような脳卒中になる人の割合が少ないというわけです。

それでは、女性はなぜ、骨折・転倒や関節疾患が多いのでしょうか。女性はもともと男性に比べて筋肉量が少なく、それに加えて、加齢に伴って下半身の筋力が衰えてくるため、転んで骨を折ったり、関節を傷めたりするケースが増えてくるのです。

また、閉経によって女性ホルモンが減少し、骨がもろくなる骨粗しょう症になることでも、骨折のリスクは高くなります。

さらに、関節の疾患としては、膝の関節や股関節が変形していく病気が多いのですが、いずれも筋力が不足することで関節にかかる負担が大きくなり、軟骨がすり減ってしまうことで関節が変形していきます。

親の食事から分かる「フレイル」の兆候

ところで、先ほどの介護が必要になった原因のうち、男女とも3位にランクインしている「高齢による衰弱」とは何でしょうか。これは、「フレイル」とも呼ばれ、現在大きな問題になっているものです。ニュースなどで聞いたことがあるかもしれません。

フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下し、自分の力だけでは生活を送れなくなったり、死亡リスクが高くなってしまった状態のこと。筋力などが低下して身体能力が衰えてしまう「身体的フレイル」、認知機能が低下したりうつ病になる「精神的フレイル」、外出して人と会うのがおっくうになって孤立する「社会的フレイル」などの種類があります。

つまり、フレイルとは、転倒・骨折や認知症のリスクが非常に高くなっているケースだといえます。心身の活力が低下している状態とは、要するにやる気がなくて元気がないということです。

例えば、高齢者が「歳をとったから粗食でいい」と、食事を簡単に済ませてしまうことはよくあるのですが、それがやがてフレイルにつながる恐れがあります。人間の体は食事で摂取するエネルギーが足りないと、筋肉を分解してエネルギーとして使ってしまうので、筋力がどんどん衰えてきます。すると、足腰が弱って転倒のリスクが高まったり、外出するのがおっくうになってしまうのです。

親がいつも食事を簡単に済ませていたり、かつての好物なのにあまり食べないような様子を見たら、フレイルを心配したほうがいいというわけです。