本当はこわい「目の血管の病気」
脳卒中のうち、およそ4分の3を占めるのが、脳の血管が詰まる「脳梗塞」です。ただ、血管が詰まるのは何も脳だけではありません。心臓や目の血管が詰まることもあります。
心臓の血管が詰まり、心臓を動かす筋肉である心筋に血液が届かなくなるのが「心筋梗塞」です。突然、胸に大きな痛みが襲い、押しつぶされるような圧迫感が生じます。血液が届かなくなった心筋は酸素不足で壊死してしまうので、一刻も早く治療を開始しなければなりません。
目の血管が詰まる病気は「網膜静脈閉塞症」と呼ばれます。脳梗塞や心筋梗塞に比べれば、目の血管の病気は命にかかわらないし、大きな問題はないと思われがちです。しかし目の血管の詰まりは、それがわずかであっても視力低下をきたします。
目の血管は他の臓器の血管と比べて非常に細く、場合によっては1mm2程度の詰まりであっても目にとっては深刻で、視力が0.1以下に下がるような状態になってしまいます。
脳や心臓、目の血管が詰まる背景には、動脈硬化があります。血管の壁の中にコレステロールが入り込み、プラークと呼ばれるコブができることで血管内が狭くなることで詰まりやすくなります。また、プラークが破れて生じた血栓(血液の塊)が脳の太い血管をふさいで脳梗塞が起きることもあります。
水分が不足する冬は血管が詰まりやすい
そして、血管が詰まりやすくなる季節といえば冬です。冬は乾燥しており、体の水分が不足して血液がドロドロになりやすいのです。夏は熱中症を心配してこまめに水分をとったりしますが、冬はつい水分摂取をおろそかにしがちです。さらにお酒を飲む機会も多くなります。お酒には実は脱水作用があるために、むしろ水分が足りなくなってしまうのです。
冬のように空気が寒いとき、人間の体は血管を収縮させて血圧を上げます。そうやって血流を維持して体を守っているのですが、血圧が上がると血管には負担がかかります。そして急に寒いところから温かいところに移動すると、血管が広がって、血管の中にある血栓がはがれて目や脳、心臓などの血管を詰まらせてしまうことがあります。
特にもともと高血圧がある人、中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールが高いなどの脂質異常症がある人、メタボ体形の人などは、血管が詰まりやすい素因を持っているので要注意です。さらにはタバコを吸っている人も、血管がより詰まりやすいと言えます。