「地面師たち」で好演したバイプレイヤー
③ 色も誠も闇も調整可能、胡散臭さとうだつのあがらなさ マキタスポーツ
「定番」がないからこそ、多数の作品を飄々と渡り歩いてきた印象。ミュージシャンでもあり、演じる幅の広さは随一。話題の「地面師たち」(Netflix)では地面師詐欺に便乗しようとするも瞬殺される男を演じたし、今期は「ザ・トラベルナース」(テレ朝)に医師役で出演(意外と医師の役が多めの印象が)。
闇金業者で情の深い右腕、スクープ命の週刊誌編集長、密命を受けた刑事など、知的で鋭敏な役柄も託される一方、家族とは洗濯物を分けられてしまう父親役も演じている。変顔や決め顔ではなく、気を抜いた顔に技を感じる、名バイプレイヤーだと思う。
④ モラハラ夫から犬以下の父まで、2.5枚目の盤石 原田泰造(ネプチューン)
二枚目と三枚目の間、陰と陽の間でうろうろする感じは女性に人気。「運命の人」(TBS)で嫉妬深い神経質な男をチック症状で演じた印象が強く、モラハラ威圧系で台頭。
時を経て善人化した泰造は、優しい夫やいい父になりたいが空回りする主演作が急増。「全力疾走」(NHK)、「生理のおじさんとその娘」(NHK)、「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(フジ)など。
裸芸は得意技、無駄にある色気も功を奏したか、「サ道」(テレ東)の主演にも説得力があった。
「鼻からうどん」よりも演技で成功
⑤ 体罰教師も理想の上司も 星田英利
鼻からうどんはもう出さないが、関西弁でいい味を出し続けるのがほっしゃん。改め星田英利。「カーネーション」で横恋慕全開、「まれ」で職人肌全開、「おちょやん」で芸人魂全開と、朝ドラで暗躍。最近では「錦糸町パラダイス」(テレ東)で江戸時代から生きる男というトリッキーな役どころで牽引した。
コワモテで悪人面なので、体罰教師の役もしっくりくるのだが、義理も情も愛も厚いという持ち味がある。それが存分に活かされたのは「宮本から君へ」(テレ東)だった。関西弁がもたらす優しさと強さを使い分け、主人公・宮本(池松壮亮)を叱咤激励する姿が記憶に濃い。今後の大役を待つ。
5傑でまとめたけれど、他にもレジェンド級がいることも心に刻んでおきたい。でんでん、蛍雪次朗、緋田康人、住田隆、モロ師岡、田口浩正、堀部圭亮、板尾創路、石井正則らは役者道を貫いて、それこそ何十年も活躍し続けているのだから。ということで、ランキングへ戻ろう。