「老害」をそのままにしてはいけない

そして何度も述べる通り、日本では、「老害」を隠そうともしないリーダーを前にして、被害者側が、どちらかといえば騒ぎ立てず、黙っていることを美徳とする傾向があります。これ自体「見て見ぬふり」の「右脳老害」と変わりありません。

「老害」がそのままになっているということは、問題があると認識はしているのに、正しいソリューションを考え、実行したりはしないことと同じです。尖ったものを、丸く収める方向への力が強く働いているということです。

ただ、「老害」を受ける側は、仮に「右脳老害」化されていても、まだ「左脳老害」化はしていない分、論理的な思考や、情報の受容、解釈が正しくできる余地は残されています。

したがって「老害」の被害によって何か問題が起きている際、原因やポイントを把握し、解決策を見いだすことは、可能なのです。むしろ、自分自身が、「左脳老害」化される前に何とかしなければなりません。

無関心が招く「老害ハザード」

それでも、自分には実行力が欠けていることを悲観視し、「老害」のターゲットにされないようにするあまり、結局何もしようとしない人が多いのです。それでは、せっかくのソリューションを生かせません。

加藤俊徳『老害脳』(ディスカヴァー携書)
加藤俊徳『老害脳』(ディスカヴァー携書)

そして、「老害」によって起きている問題が、誰の目にも明らかな失態や悪事として広く認識され始めてから、「実は以前から考えてはいたのですが……」「何度か指摘はしたのですが……」などと言い始めることが多いのです。

被害者側がこういう状況に甘んじていると、やがて自分で考える力を失ってしまいます。考えても無駄だと思えば、深く考えずに適当に対処して生きていく方が楽だからです。また、相手にはっきりと迷惑であることを伝えるのには、どうしても勇気が必要だったりします。

こうして、先にも述べた通り、「右脳老害」の中で生きていると自分も容易に「右脳老害」化して、ついには「左脳老害」化していく、というゲームのバイオハザードの法則、すなわち「老害ハザード」が成り立つのです。

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