大切にしたい2段上の上司との関係
上司をうまく使うことも、段取り上手になるためのポイントです。私は「部下力を磨きなさい」といっていますが、上司とは仕事上の情報や価値観を共有化しておくことが重要なのです。
上司は部下と違った視点で物事を見ていますから、部下の提案に対し「これは優先順位が逆だ!」とか「この部分は加えてほしい」といった意見を持つこともあります。ですから仕事が振られたら、どの程度の位置づけなのか、自分なりに判断する一方で、上司の意見を聞く必要があります。そうすることで仕事の〝品質基準.が確認できると考えています。
私は営業課長になったばかりの頃、部長のスケジュールを確認して、2週間に1回、30分程度のアポイントを取っていました。その際には、必ず仕事の進捗状況などの要件を紙に書いて、文書の形で渡しました。そして口頭で報告や相談をしたのです。こうしておけば、上司も安心していられます。
もう1つ、上司の上司、課長なら部長、次長なら本部長というように〝2段上の上司.との付き合いも大切にしてきました。実は、2段上の上司も、自分の部下のそのまた部下の話を聞いてみたいと考えているものなのです。
例えば、部長ならすぐ下の課長が部下からどう評価されているのかを、とても気にしています。そんなときは「あの人はこんな素晴らしい面を見せてくれます」と褒めるのが常道です。でも、10回に1、2回はネガティブな情報を入れてもいいでしょう。そんな関係をつくっておくと、イザというときは親身になって相談にのってくれるものなのです。
もちろん、周囲との信頼関係をつくっておくことも重要です。私は「社内のメンターを持て」といっていますが、仕事の計画を立てるに際しても、その仕事に精通している人や、関連資料のある場所を知っている人の存在はありがたい。そうした人たちと、日頃から密にコミュニケーションをとっておきます。
上司、そしてさらに上の役職者と付き合うことによって、ビジネスマンは“視点の高さ”を手に入れられます。視点が高ければ、問題の捉え方が多角的・広角的になり、仕事の幅も出てきます。いつでも「上位者だったらどう考えるか」という意識を持つようにしましょう。