ハイブリッドコンサルティング代表取締役CEO 吉山勇樹氏

私が夜寝る前に習慣づけているのが、メールをチェックした後で確定したアポイントメントなどをB5判サイズの手帳にメモすることと、そこにあるメモを確認しながら翌日の自分の行動パターンを頭のなかでイメージすることです。時間にしてわずか3~5分。しかし、そうしておくと、翌日はメリハリのある1日を過ごすことできるようになります。

私は、手帳を単なるスケジュール管理のツールだとは思っていません。顧客満足度を向上させて成果をアップしていくために、自分がやるべきタスクをリストアップし、確実に実行していくためのものだと考えています。いわゆる「To do list」と手帳のスケジュール機能を組み合わせ、自分自身の「行動管理手帳」として活用しているのです。

こういった体裁で私が手帳を活用し始めたのは、大学2年生でベンチャー企業の創業・運営に役員として携わったときです。目の前には膨大な量の仕事があり、何から手をつけていいのかわかりません。そんなとき、先輩経営者から行動管理手帳の重要性を教えていただきました。

私が使っている手帳は、見開き2ページに1週間のスケジュールが書き込めるバーティカルタイプのもの。30分刻みで横に罫線が引いてあり、そこに「研修」「フィードバックのためのアポ取り」など自分がなすべきことを、わかった段階ですぐメモするよう習慣化しています。

よく時間管理の重要性を耳にしますが、私が強調したいのは時間管理ではなく、行動管理だということです。皆さんさまざまな手帳活用の工夫を試みていらっしゃるようですが、行動レベル、すなわち、1日を分単位で捉えることが思い通りに仕事を進めるためのポイントなのです。

そしてもう1つ大切なのは、ゴールの設定です。「Plan-Do-Check-Action」のPDCAサイクルのことは、読者の皆さんもよくご存じでしょう。しかし、最初の取っ掛かりとなるプランをいくら立てても、どこに向かうべきなのか、目的としてのゴールをしっかり据えておかないと、間違った方向へ進みかねません。

マクロ的な話をまとめてから、ミクロの話に入っていかないと、物事の方向性は定まらないのです。自分自身を見失うこともあるでしょう。だから、多忙になるほど時間管理に緩みが生じてしまうのです。時間管理はあくまでもPDCAサイクルの「P」、つまり計画にすぎません。目的は自分の行動を管理すること。そのことを戒めるためにも、分刻みでの行動管理を手帳で実践しているのです。