手書きの手帳がベストな理由
私は1年間のうちに220日ほど研修や講演で全国を飛び回っています。そんな移動の最中のタクシーや飛行機のなかで少しでも時間に余裕ができると、行動管理手帳を何度でも繰り返し見ています。私が手書きの手帳にこだわる理由もここにあります。一時期、パソコンを使ったこともあったのですが、飛行機のなかでは使用禁止です。いつでも開くことができる手書きの手帳がやはりベストです。
では、なぜ繰り返し見ているかというと、そこにメモしてあるタスクの「後続作業(後に続く仕事)」が頭のなかに浮かんでくるからです。7月25日にあるメーカーさんの営業研修が入っていたとしましょう。すると研修成果のフィードバックの資料作成、それを説明するためのアポ取り、新たな研修の企画など新たなタスクが次々と見えてきます。
1つのタスクが終わった時点で「よしできた」と、書き出したタスクに線を引いて消してしまう人がいますが、頭の思考回路をストップさせてはいけません。何度も繰り返し見ながら、その後にどのようなタスクがつながってくるのかを考えます。そうすることで、最終目的である顧客の心を掴んで放さない行動に近づいていけるようになるのです。
ここで行動管理のポイントをご紹介しましょう。それは「15分刻みの時間単位で自分の仕事を捉え直してみる」ということです。そうすると「忙しくて毎日残業だ」といっている人ほど、仕事中にムダ話が多かったり、喫煙スペースに長居をしていたりと、時間をダラダラと浪費していることがわかってきます。
「今日の予定は」と尋ねると、「会議があります。それくらいでしょうか」と答えが返ってくることがあります。その人は1日単位でしか仕事を捉えていないのです。また相手のある仕事、つまり“二人称以上の仕事”しか目に入っていません。そこで、1時間、30分、15分と時間単位を短くしていくと、自分1人で完結させる“一人称の仕事”がいくつも浮かんできます。そして、本来30分でできる仕事に、2時間も費やしているようなことも明らかになってきます。
つまり仕事を棚卸ししながら、その内容や進め方をチェックしているわけです。そこでムダやムラのある動きがわかったら、今度は15分単位で細切れに締め切りを区切って、個々のタスクごとに集中して取り組みます。すると、グングンと成果が上がっていきます。また、意外な「スキマ時間」を発見して、時間の有効活用という副次効果を得ることもできます。
もちろん、チェックは一度やったら終わりではありません。繰り返し行うことが大切です。その点でも、行動管理手帳を何度も見返す必要があります。また、そのステップの過程で、1つひとつの仕事に関するナレッジベース化も進み、これからやるべき個々のタスクが自然と頭の中に浮かんでくるようになります。