長期視点と同じくらい重要な考え方
アセットアロケーションとは、自分の資産をどんな金融資産(アセットクラス)にどのように配分(アロケーション)するかを決定することです。実は、運用リターンの8割はアセットアロケーションで決まると言われています。
もともとアセットアロケーションは、アメリカの経済学者ハリー・マーコウィッツが提唱した理論です。1990年にノーベル経済学賞を受賞し、長期投資において最も安定的なリターンが得られると理論的に証明されました。
土台となるアセットクラスは、株式、債券、不動産投資信託(REIT)などで、さらに国内・海外に配分します。リスクを分散しながら最適なリターンを目指します。
具体例として、私たちの公的年金をみてみましょう。年金積立金は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が管理・運用しています。GPIFも長期的な観点から基本ポートフォリオを策定しています。この基本ポートフォリオは、マクロ経済や市場の動向を注視しながら、想定した運用環境から乖離がないか検証を行い、必要に応じて見直しをしています。
債券を組み入れる3つのメリット
組合せのポイントは「相関関係」です。値動きが違う資産を組み合わせると、より小さなリスクで収益を目指すことができます。たとえば、株式は好景気であれば上昇しやすく、債券価格は下落(金利は上昇)しやすくなります。不景気時は、逆の現象が起きやすくなります。一方、不動産は遅効性があり、株式より少し遅れて価格が変動する傾向にあります。
私はもともと金利・債券が専門です。債券は
・価格変動の特性における株式との相関性が低い
・価格変動を抑えながら利金収入を得られる
・満期まで保有すれば元本が返ってくる
といった理由から、ポートフォリオのクッション材として、株式と一緒に組み入れる運用を推奨しています。ただ、債券のメリットや有効性に疑問を感じる人は、代わりに円預貯金を組み入れてもよいでしょう。