自分の収入・性格に合ったバランスを見つける

では、具体的に「株式や債券、現金は何割持つべき」なのでしょうか? 結論から言うと、個人の目標やリスク許容度、投資期間によって異なります。

まず、現金は最低でも毎月の生活費3カ月〜1年分を保有しましょう。詳しくは過去記事〈新NISAは「ほったらかし」が鉄則だが…積立投資で「年1回だけ絶対にやったほうがいいこと」〉をご参照ください。

次にリスク許容度診断で、自分に適切なアセットアロケーションを知ります。「リスク許容度診断 無料」と検索すると、様々な金融機関がツールを提供しています。複数のツールを試して、しっくりくる提案を取り入れるとよいでしょう。

一般的に、リスク許容度が低い人や投資期間が短い人は、債券や現金の比率を上げるのが適切です。一方若い世代は、時間を味方につけて、株式の割合を増やしてもよいでしょう。ただ性格も大きく関係しますので、リスク許容度診断をしてみましょう。

「ローリスク・ハイリターン」は詐欺の手口

残念ながら投資の世界には、詐欺のリスクが潜んでいます。消費者センターによると、SNSで著名人を名乗った投資勧誘トラブルが急増しています。「(著名人)が投資のノウハウを教える」などと勧誘し、投資資金を振り込ませます。その後「追加費用を支払わないと出金できない」「相手と連絡が取れなくなった」などの被害が多いようです。一旦振り込んでしまうと、被害の回復が困難です。

詐欺まがいの投資家が狙うのは、リスク許容度が低く「安全に資産を増やしたい」と願う人たちです。彼らは巧みに「ローリスクでハイリターン」というメッセージとともに、不安を煽って投資を勧誘します。

世の中にローリスク・ハイリターンの金融商品は存在しません。金融商品のリターンとリスクは、総じて比例的です。甘い言葉に惑わされることなく、冷静に判断しましょう。

また、金融商品取引を行う業者は、金融商品取引業の登録が必要です。金融商品を勧誘されたら、金融庁のホームページ「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で登録されている業者なのか、確認してください。

投資のリスク許容度は人によって異なります。自分の感情やライフスタイルに合わない投資を続けると、ストレスや不安が増大します。自分の価値観や心理状態に合わせた資産運用を行いましょう。

現在、日米欧の金融政策が転換期を迎え、11月には米大統領選挙も控えています。また地政学リスクを考慮すると、引き続き金融市場は不透明な状況が見込まれます。このような不確実な要素に振り回されるのではなく、自分でコントロールできる「マネープラン」に焦点を当てることが重要です。自分の目標にあったポートフォリオが、安定した資産形成への鍵となるでしょう。

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