旧メディアにかける経費は10年で約3割減
化学メーカーのクラレが10年に「現代家庭の情報生活」と題して行った調査では、00年と10年の家庭における1カ月あたりの情報経費の変化について興味深い結果が出ている(図参照)。00年の2万9689円が、10年にはデフレ不況もあってか2万1250円と8439円も減少。内訳はご覧の通り新聞が半減、書籍・雑誌は5分の2に。放送受信は3割減。合計で約3割減った。一方で携帯電話は2割増、インターネットは3割増。微増にとどまっているのは、料金競争の激しさが主因と考えられる。
特に興味深いのは20代で、新聞購入代は3980円から925円と4分の1以下に、書籍・雑誌購入代は3543円から1076円と3分の1に激減。40代も減少傾向が顕著で、新聞代が4631円から2669円、書籍・雑誌代が3474円から1517円と半減した。
先の調査結果と合わせてみると、若者の4マス離れが顕著であり、中年世代でもほぼ半減している事実から、ネット回線料やスマホ代が4マスにかける費用に取って代わりつつあることがよくわかる。
これまで4マスは、情報や知識に接したいという人の欲求に応えてきた。しかし、それらを検索し、無料で接することが可能なネットの台頭によって、視聴する優先順位が変わってくるのは当然だ。
昨年12月、輸入住宅販売のセルコホーム(仙台市)が2000人を対象に行った「住まい方に関する意識調査」で、「メディアが住まい方、価値観にどう影響しているか」という問いへの回答が面白い。
「人生の価値観に影響を与える」メディアとして、ネットメディア(ソーシャルメディア除く)が64.8%とテレビの77.8%に次ぐ2位。新聞の60.9%をわずかに上回り、44.8%のソーシャルメディアは雑誌(47.9%、4位)に迫る5位。とりわけ20代は新聞が45.6%とさらに低く、50代の73.6%と大きな開きが出ている。
今の20代が10年後に4マスを有り難がるようになるとは思えない。ポータル経由で読む無料のニュースについて、配信元がどこかを気にする読者はそうはいまい。4マスがネットに取り込まれていく流れは、さらに加速しそうだ。