自前のスマートフォンを仕事で使いたいと思う人も少なくないだろう。実は米国では、自前端末を業務に使う「BYOD」が流行しつつある。
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員がスマートフォンなど私物の端末を業務に使用することを指す。レストランで自前の酒のボトルの持ち込みを許可するというBYO(Bring Your Own)をもじったものだ。
今までと違うのは、メールを閲覧したり、会社のファイルサーバにアクセスすることができるなど、外部からのアクセスが制限されている情報が自前の端末で見られることだ。使い慣れた端末で業務ができることによって生産性が向上すると同時に、会社が高価な端末を支給せずに済むというコスト削減のメリットがある。
米・ヴイエムウェアの調べによると、個人所有のモバイル端末を業務利用している人の割合は、アジア諸国が軒並み90%前後の数字であるにもかかわらず、日本は22%とダントツの低さだ。各国に比べると、日本人は「会社でしか仕事していない」環境にある。BYODにより、移動中や自宅での仕事が容易になるため、東日本大震災の際に注目された在宅勤務やノマドなど雇用の多様化を後押しするだろう。
気になるのはセキュリティ面。今年4月、ディー・エヌ・エーはBYODからスマートフォンの会社支給へ逆戻りしたが、その理由の一つに私物の端末にデータが残ってしまうことの懸念を挙げている。また、プライベート時間との区分けがなくなり、勤務時間が増えることにも注意が必要だろう。
(ライヴ・アート=図版作成)