家電を買い替えるとき、量販店で価格を確かめたあと、ネットで購入することも多いだろう。店舗を現物を確認するための「ショールーム」として利用し、実際はネットで購入する行動を「ショールーミング」という。
米国ではこうした現象が増加の一途をたどっている。きっかけは、2011年に米・アマゾンが始めたスマートフォン向けアプリ「Price Check」だ。リアル店舗で商品のバーコードをスキャンし、その商品を“アマゾンで”購入すると値引きされる仕組みなのだ。
日本でもショールーミング自体はすでに一般的な行動である。リアル店舗に対抗策はあるのか。
1つは「ジオ・フェンシング」。モバイル機器のGPS機能を使って特定の場所(フェンス)の中に顧客や物が出入りしたときに、システムからメッセージを送ることができる技術のことで、「店舗が自前のアプリを使ってECサイトに対抗する」という方法だ。
もう1つのキーワードは「体験」だ。ダイナ・サーチ代表の石塚しのぶ氏は「『顧客がまた来たいと思うような店舗は?』といま一度考えてみると、行き着くところは店舗で顧客に接する人がつくり出す感動、温かみ、人間味、エンターテインメントになる」と語る。
石塚氏はグロサリーストア大手のトレーダー・ジョーズに注目しているという。同社はFacebookやTwitterには目もくれない。店舗は店員と顧客の笑い声や会話が絶えず、その接客姿勢と高い商品性で人気を勝ち得ている。日本の「おもてなし」文化には、これに通じるものもありそうだ。
(PANA=写真)