人間関係を上手く構築できる人は何をしているか。コミュニケーション心理トレーナーの松橋良紀さんは「私が営業時代、人の懐に入るのがとてもうまかったAさんは、どんなに年配の方でも『○○さん』と名前で呼びかけ、安定した成績を出していた。人間関係を築く上で、相手の名前で呼びかけると親近感を持ってもらえるうえ、相手の名前を自然に覚えられて一石二鳥だ」という――。

※本稿は、松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

握手をするビジネスマン
写真=iStock.com/Atstock Productions
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99%の営業が使う「お客様」「奥様」は絶対NG

うまく雑談できる人は「○○さん」と名前を呼び、
できない人は「お客様は」と言う。

自己啓発の代表的な本と言えば、デール・カーネギーの名著の『人を動かす』でしょう。この本の中で、「人に好かれる六原則」のひとつとして「名前を覚える」と書かれています。

「名前は当人にとって、最も快い、大切な響きを持つことばであることを忘れない」

メルマガが一般的になってから20年以上経ちます。

メールの件名や本文の冒頭に「○○様」を自動的に差し込まれていると、不特定で送られてくるメールと違って、ついつい開いて見てしまいます。デール・カーネギーの人に好かれる原則を活用していると言えます。

営業時代に、研修トレーナーとして、数百人の営業に同行をしていました。様々な営業スタイルを客観的にみることができて、コミュニケーション心理学を研究する上で貴重な体験ができました。

その中でも印象に残っているのは、ある営業のAさんに同行したときです。

Aさんは、社内でも人の懐に入るのがとてもうまい人で、安定した成績を出していました。同行すると、どんなに年配の方でも、名前で呼びかけていることに驚きました。75歳の女性にも「さん付け」です。

99%の営業は、「お客様」「奥様」、あるいは「奥さん」と呼んでいましたし、70代以上のお客様相手だと、20代30代の営業は、「おばあちゃん」と呼ぶ人も多かったです。ところがAさんは、どんなに年配の方でも、○○さんと呼びかけていました。相手に対してのリスペクトを感じました。