9月14日、「スターバックス コーヒー 越谷イオンレイクタウン mori 3階店」がリニューアルオープンした。ファミリー層をターゲットとした店舗となる。マーケティングが専門の高千穂大学商学部教授の永井竜之介さんは「『家族でスタバ』を定着させられるかどうかの試金石となる。独自の強みを形成できるかが重要だ」という――。

「家族でスタバ」の試金石とも言える店舗

「家族でスタバ」は、スターバックスの利用形態の中では少数派と言える。スターバックスは若者から大人の幅広い層に利用される人気のカフェだが、「若者」に含まれるのは大学生や高校生、せいぜい中学生までで、それよりも幼い子どもたちの利用は少ない。標準の店舗空間、商品の構成や価格帯、いずれも子どもがメインターゲットではなく、小さな子どもを連れたファミリー層がスターバックスに集まるようなシーンは、多くは見られない。

しかし、数年後、「家族でスタバ」は新たな定番になるかもしれない。若い頃からスターバックスを愛用してきて自らが親になった「スタバ世代」が、これからは家族と一緒にスターバックスに通い続けられるようなファミリー向けの店舗が越谷イオンレイクタウン内に新オープンした。ファミリー層を新たに開拓していくうえでの試金石とも言える、新コンセプトの「スターバックスコーヒー 越谷イオンレイクタウン mori 3階店」に注目しながら、この新規開拓の背景やキーポイントについて見ていこう。

スターバックス コーヒー 越谷イオンレイクタウン mori 3階店
画像提供=スターバックス コーヒー ジャパン
スターバックス コーヒー 越谷イオンレイクタウン mori 3階店

店舗設計の多様化が進められている

スターバックスは日本で最も店舗数の多いカフェチェーンで、2024年6月末時点で1948店を全国に展開している。人の賑わうエリアに店を構え、ゆっくりとリラックスできる空間や、仕事などの作業に集中できる空間を、職場とも自宅とも異なるサードプレイスとして提供する店舗設計が標準になっている。じつは、この標準に加えて、新たなコンセプトや体験を提供する店舗設計の多様化が進められている。

「この一杯から広がる 心かよわせる瞬間 それぞれのコミュニティとともに― 人と人とのつながりが生み出す 無限の可能性を信じ、育みます」というミッションに基づき、スターバックスは、それぞれのエリアのコミュニティの特徴や文化、ニーズに沿った多様な店舗を増やしていっている。デザインや席配置などを最適化させることで、店がエリアのコミュニティと繋がり、店とコミュニティが共に成長していくことを目指している。