「ます」の連発は盛りすぎで不要
「本日お見えになります方は、お知り合いでいらっしゃいますか」
「ご覧になります方は、以上でございますか」
丁寧語は、聞き手に対する丁寧な気持ちを表す言葉です。尊敬語や謙譲語よりも使いやすいせいでしょうか。このように、やたらと「ます」を連発する例を見かけます。特に、話し言葉になるとそれが顕著です。
「これに懲りませずに(○懲りずに)またお誘いくださいますようお願いいたします」
「改めまして(○改めて)お知らせいたします」
「ご多忙にもかかわりませず(○かかわらず)、ご来場くださいまして感謝いたします
「重ねまして(○重ねて)お礼申し上げます」
「差し当たりまして(○差し当たって)ご意見を伺います」
「したがいまして(○したがって)今後の教訓といたします」
「取り急ぎまして(○取り急ぎ)申し上げます」
「改めまして(○改めて)お知らせいたします」
「ご多忙にもかかわりませず(○かかわらず)、ご来場くださいまして感謝いたします
「重ねまして(○重ねて)お礼申し上げます」
「差し当たりまして(○差し当たって)ご意見を伺います」
「したがいまして(○したがって)今後の教訓といたします」
「取り急ぎまして(○取り急ぎ)申し上げます」
下線部の「ます(まして・ませず)」は、どれも不要。丸カッコ内の言い方が慣用表現として定着しています。カッコよく、自信を持って使いましょう。
どれだけ盛っても敬意が増すわけではない
また、冒頭の表現では「お/ご……になります」が「方」を修飾する表現として使われていますが、ここでの「ます」も要りません。「お/ご……になる」で十分です。
「本日お見えになります(○なる)方は、お知り合いでいらっしゃいますか」
「ご覧になります(○なる)方は、以上でございます(○いらっしゃいます)か」
「ご覧になります(○なる)方は、以上でございます(○いらっしゃいます)か」
2文目の文末は「ございますか」ではなく「いらっしゃいますか」とすべきでしょう。丁寧語の「ます」をいくら盛っても敬意の度合いが増すわけではありません。ほどよく、ちょうどよく、適材適所でいきましょう。