ちなみに、前出の「景気動向調査」における不動産業界の景況判断も悪くない。というのは「消費税増税効果はまだ少ないが、2013年あたりから住居系の駆け込み需要を見込む業者は多い。そのため分譲用土地等の仕入れ競争が若干発生してきている」と先行きに明るさがあるからにほかならない。
大型・高層マンションの建設は、一面で街づくりの要素もあり、周辺部にはアウトレットモールなどの商業施設も整備される。この分野は大手デベロッパーの独壇場で、いまや舞台を中国などに事業拡大しており、今後の動向が年収にも反映されていく可能性が高い。
住宅・ハウスメーカーに目を向けると、11年度の新設住宅着工戸数は、前年度比2.7%増の84万1246戸。震災後はさすがに落ち込んだが、12年7月末が着工期限だった住宅エコポイントの駆け込み需要もあり、2年連続してのプラスとなった。ただ、直近で109万戸だった08年度実績からするとまだ8割程度の水準だ。
ここにきて、全国的な節電志向が、ユーザーのスマートハウスへの関心を高めている。太陽光発電と蓄電池を組み合わせてエネルギーを効率的に使う住宅で、大手を中心に、新たな収入源として期待される。こうした動きが、住宅メーカー各社の年収の2桁の伸びにつながっていると見ていいだろう。
※すべて雑誌掲載当時
(ライヴ・アート=図版作成)