ちゃんとした企業は時間をかけて人材を選ぶ

(3)ブラック企業を支える就職希望者

採用選考経験を相当に積んだ面接のプロであっても、応募者の人柄や能力を評価して見抜くには相応の時間を要する。

だからこそ採用選考では筆記試験、グループディスカッション、グループ面接、個人面接と多くの選考ステップがあり、面接官は人事採用担当のみならず、現場で共に働くことになるメンバーや上司になる人など、さまざまな立場の人が選考に関わり、時間をかけて総合的に判断するものだ。

必然的に、そういった選考過程を通過できるのは、学生時代に目標をもって取り組み、成果を出したことのある人や、現職で実績を残している人ということになる。

面接を行う担当者は履歴書を確認している
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明らかに怪しい企業を選んでしまう人たち

一方で、離職が激しく、慢性的に人手不足であるブラック企業の場合、応募者を厳選している余裕などないため、「面接1回で即内定」「学歴、職歴などすべて不問」といった、選考のハードルを極端に低くして採用をおこなうことが多い。

本来はその時点で警戒すべきだが、学生時代を自堕落に過ごしてしまい、「学生時代に頑張ったこと」が皆無のような学生や、真剣に就活せず、なんとなく受かった会社に入ったものの、入職後ミスマッチを感じて、大した組織貢献もしないまますぐに辞めてしまったような人の場合、就活や転職活動において複数の企業に応募するも、残念ながら意中企業の選考が不合格となったり、軒並み通過しなかったりすることがままある。

採用試験に連戦連敗で自信を失い、自己肯定感も低下してしまうと、「もうどこでもいいから受かったところに……」という心境になりがちだ。

そんなタイミングでうっかりブラック企業を受け、一発内定が出てしまうとつい恩義を感じてしまい、「こんなダメな自分を拾ってくれた……この会社で頑張ろう‼」などと決意してしまう。そうやってブラック企業に入社し、貢献してしまう人がいる以上、ブラック企業が生き永らえることに繋がる。