「有名企業かどうか」で価値を判断するマスコミ

(6)恣意的な報道をおこなうマスメディア

マスメディアがニュースとして取り上げるのは、全国的に知名度のある大手企業か、何かしらの理由で世間から注目されている企業がほとんど。そのような大手有名企業であれば、些細な事象でも針小棒大に騒ぎ立てる。

一方で、本当に悪質な違法行為で、世の中に知らしめるべきブラック企業の事案であっても、それが地方の小規模な無名企業であれば視聴者や読者の耳目を引くこともないため、ニュースとして採り上げられる機会も稀となる。

報道されない以上、違法行為の抑止力とはならず、特にコンプライアンス意識が低い小規模企業において自浄作用が働かないという残念な結果になってしまっている。

帰宅ラッシュ時のビジネスパーソンたち
写真=iStock.com/AzmanL
※写真はイメージです

「御恩」があるのでブラックでも文句が言えない

(7)日本独自の雇用慣行

日本は、「人に仕事を当てはめる」メンバーシップ型の雇用システムを採用している珍しい国だ。諸外国は「仕事に人を当てはめる」ジョブ型が多い。

日本人の有休消化率が異様に低い理由も、この雇用システムの違いが影響している。

なぜ日本人は「休むこと」に罪悪感を持ってしまうのか…「有休取得率が世界最下位」となる3つの根深い理由

詳しくは上記記事を参照してほしいが、メンバーシップ型は、入社時点では職務内容を厳密に特定せず、まずは「会社の一員」として採用する。その後、本人の適性に応じて配属したり、異動させたりするのが慣例だ。

こうした世界では、組織が働き手を家族のように守る代わりに、働き手は「ファミリーの一員」として、組織の要望に無制限に応える働き方を期待されることになる。

したがって、「休暇を取りたい」「ワーク・ライフ・バランスを確保したい」という意思は、(あくまでメンバーシップ型の建て付けにおいては)組織からの「御恩」に対する反旗に捉えられてしまうことになり、必然的にブラック労働が強化されてしまう構図となるのだ。

後編に続く)

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