体内時計の「夜型化」は不眠症の温床
次の日、いつもよりも早く起きなければいけないときに、ふだんよりも早めに寝ようとしても、なかなか寝つけない経験をしたことはありませんか? それは、睡眠禁止帯に当たってしまったからです。
次の日の朝、早く起きなければいけないときでも、ふだんどおりの時間に寝るのがベストです。たった1日の睡眠不足ならば、翌日の睡眠で解消できます。
大事なことは睡眠禁止帯に当たっているせいで眠れなかった経験を「なんで眠れないのだろう」と思い込まないようにすることです。「眠れなかった」という経験をいかにつくらないかは、快適な睡眠習慣をつくるためのコツです。
やっかいなところは、この睡眠禁止帯が後ろにずれてしまうことです。大昔から人間に備わっている体内時計は、ほんの些細なことで狂うことがあります。
たとえば、ベッドの上でスマホなどを見ることによる光の刺激や食事のタイミングによって体内時計が「夜型化」してしまうのです。
その結果、ふだんベッドに入る時間にまで睡眠禁止帯が入り込み、不眠症の温床になります。眠るタイミングは、体内時計が決めています。
乱れた体内時計の調整も、体内時計が時を刻む「声」を聞くとともに、体内時計が乱れてもリセットできるような術を身につけることが肝心です。
「寝室=寝るとき以外使わない部屋」と考える
「眠れない」という体験は、多くの人が思っている以上に、快適な睡眠を大きく阻害します。とくに、寝室で眠れないという経験を繰り返していくうちに、寝室は“眠れない部屋”という記憶が無意識のうちにできてしまい、それが「今日も眠れないんじゃないか」という不安を生み、さらなる“不眠の悪循環”を招きます。
それほどまでに重要な寝室は、いっそのこと寝るとき以外使わない部屋と考えておいたほうが良いでしょう。ワンルームに住んでいる人は、ベッドを寝室と考えると良いです。大切なことは、寝室(ベッド)で眠れた、という成功体験をいかに積み上げていくか、ということです。
規則正しい生活が健康には良いとされていますが、睡眠は思いのほか寛容です。多少の寝不足は、翌日の睡眠で取り戻すことが十分可能です。
いつも決まった時間にすんなり就寝できている人は気にする必要はありませんが、「眠れない」と悩んでいる人は、睡眠の“懐の深さ”に甘えてしまうこともときには必要です。
いつも眠くなる時間なのに、眠気が起きない場合は、体内時計が多少乱れて、「いまは睡眠禁止帯なのかも」と気軽に構えておくことです。