年額が厚生年金136万円、国民年金51万円で生活できるか?
③年金を繰り上げた分を生活費に回し、60歳から働かずに老後を生きようと考えた。
これはその通りだが、60歳以降死ぬまで、働かないで暮らすお金がもらえるかは疑問だ。
図表3を見てほしい。
年金ごとの平均年金月額である。
厚生年金受給権者平均で14万9216円
国民年金受給権者平均で5万6428円
である。
これを、65歳から60歳まで繰り上げた場合の年額で見てみよう。
繰り上げた場合の厚生年金受給権者平均年額
14万9216円×12カ月×(100%-24%)=136万850円
繰り上げた場合の国民年金受給権者平均年額
5万6428円×12カ月×(100%-24%)=51万4623円
(年金受給権者が1962年4月2日以降生まれの場合)
14万9216円×12カ月×(100%-24%)=136万850円
繰り上げた場合の国民年金受給権者平均年額
5万6428円×12カ月×(100%-24%)=51万4623円
(年金受給権者が1962年4月2日以降生まれの場合)
厚生年金、国民年金とも平均レベルでみると、それぞれ年136万円、年51万円と生活費を賄うこともできるのかという金額だ。
ブログをみると「年金繰り上げで労働から解放された」と書いてあるが、正直、本当かなと思う。上記の金額では無理である。ましてや繰り上げの主流を占める国民年金の受給権者の場合、この金額ではどんなに切り詰めても食費にもならないだろう。
「年金を新NISAに回し年金を増やす作戦」は危険すぎる
④新NISAの開始の影響もあり、年金を早くもらって、新NISAで運用して儲ければ、繰り上げの減額分は取り返せると思った。
これまで説明した通り、年金受給権者が1962年4月2日以降生まれ、すなわち、2024年9月現在、62歳以下の人の場合、繰り上げで年4.8%の減額になる。
その減額を甘んじて受けて、新NISAで運用すれば、年4.8%以上の運用益を得る可能性はある。ところが、その運用益は保証されたものではない。資金的に余裕があるのなら、年金繰り上げはせずに、手元の余裕資金を新NISAに投資して、年金は働けなくなった時のためにとっておくことをお勧めする。資金的に余裕がないのなら、まず、損を確定させて、新NISAの運用益にかけるのはギャンブルなので決してお勧めしない。