体脂肪は減るが、精巣が委縮する

・ガルシニアエキス(ヒドロキシクエン酸)

東南アジアの柑橘類の果皮に含まれる成分であり、糖質から脂肪を合成する酵素ATPクエン酸リアーゼを阻害する働きが知られている。特に炭水化物をよく摂取する民族には有効とされる。

しかし、厚労省の研究により、ラットに高濃度を投与することにより精巣の萎縮が見られたという報告があり、その内容に不安を覚えた男性が使用しなくなって、日本での販売はしぼんだ。

・ギムネマ・シルベスタ

中国、インドなどに分布する常緑つる性植物であり、古くから糖尿病の症状に使われてきた。「糖分の吸収を抑える」とされるが、十分な根拠は得られていない。

・コエンザイムQ10(CoQ10)、α-リポ酸

スポーツサプリメントとしても抗酸化物質としての効果が期待されている。

【図表2】ダイエット系健康食品・サプリメントの分類
出所=『一般教養としてのサプリメント学』(草思社)

このように、いくつかの成分は研究されていますが、大別すると図表2のように分類することができます。基本的には、何らかの食品がブームになってもあまりすぐに飛びつかず、健康被害がないかを確認できた上で、興味があれば自己責任で使ってみるということになるでしょう。

安全性・有効性情報については、国立健康・栄養研究所の情報ページも参照してください。

安全に1カ月で2キロやせる方法

ダイエットは、基本的には体脂肪を落とすことが目的になりますが、人間には必須体脂肪率があり、男性では3%、女性では12~14%です。女性は、この数値を下回ってくると、女性ホルモンの分泌が低下し、月経周期に乱れが出てくるとされていますので、体脂肪率を測定して適正な範囲にとどまるように考える必要があります。

杉浦克己『一般教養としてのサプリメント学』(草思社)
杉浦克己『一般教養としてのサプリメント学』(草思社)

さて、脂肪は1グラムあたり9キロカロリーの熱量を持っていますが、体脂肪の場合は、水分や他の成分を含むので、純粋な脂肪の約80%として7キロカロリーの熱量を持つと考えられています。そこで、体脂肪を1キロ落とすには、エネルギーとして7000キロカロリーの赤字をつくればよいことになります。

極端な考えでは、男性の場合3日間絶食すれば7000キロカロリーの赤字は可能となりますので、体脂肪を1キロ減らすことができるという計算が成り立ちます。1カ月間(30日間)絶食すれば、体脂肪を10キロ減らせるということになりますが、死んでしまいます。

そこで、図表3のように、栄養(食事制限)と運動との合わせ技で1日500キロカロリーの赤字をつくることができれば、30日間で15000キロカロリーとなり、体脂肪で約2キロのダイエットが可能となります。

食事摂取基準2020年版(18~29歳)を参照すると、身体活動レベルが「低い」人の栄養で、「高い」人の運動量に近づけていけばそれが可能となります。

【図表3】減量(ダイエット)の王道
出所=『一般教養としてのサプリメント学』(草思社)