給料やポストが上がることはなくても、合併を機に下がる事態に直面した社員はかなりのショックに違いない。

00年代後半に合併した大手食品メーカーの旧2社の制度は、ポストを外されることはあっても給与が下がることはない従来型の賃金体系だった。合併後に役割等級制度を導入。管理職層の等級は1~9の9等級に分かれた。

「1~2級が初級の課長クラス、3~4級がライン課長職、7~8級が部長・支店長クラスに相当します。以前と違って“飛び級”どころか3階級、4階級特進も珍しくありません。たとえば4級の課長が8級の部長になると年収ベースで400万~500万円上がります。一方、8級の部長から5級に降格し、部長を外れたうえに年収も300万円下がる人もいます。全体で言えば、年間に昇級する人が3割、降級する人が1割います」(人事部長)

じつはその人事部長も合併前は旧社の人事部長だったが、合併後に副部長クラスに降格される経験を味わっている。

「降格されて給料が下がり、ショックを受けない人はいませんよ。なんで自分がそうなるんだとね。でも人事としては社員の納得は得られないまでも理解してもらわないといけない。でも正直言って、降格するのは二重の苦しみでね。精神的なつらさともう1つは仕事の内容です。今まで何十人の部下をマネージしていた人が一担当に戻るわけです。こうした処遇はなかなか受け入れられるものではありません」