「3歳児神話」には科学的な根拠はない
――本書では「子どもが3歳までは母親が子育てに専念するべきだ」という考え方は間違っているという話がありました。脳科学的にはどのように捉えられているのでしょうか。
戦後の日本で流行した、「3歳児神話」という育児論のことですね。
脳科学の観点から言うと、親子の愛着と時間の長さに因果関係はなく、親子の愛着は「不安のない親」が「不安のない子ども」と接することにより育まれます。
0歳から子どもを保育園に預けていたとしても、子どもと過ごす時間を心から楽しんでいるのであれば、子どもの脳の発達にはいい影響をもたらします。自宅保育をすることで家事や育児のストレスに晒されるくらいなら、お子さんを保育園に預けて、親御さんが健やかでいるほうがよほど健全な親子関係を形成できます。
――親御さんの心のゆとりが、お子さんの安心に直結するんですね。
お子さんに関して心配なこともあるかもしれませんが、子どもの脳の発達には時間がかかります。親にできることは、焦らず、信じて待つこと。「待つ」というのは、心に余裕がなければできません。
「子どもを笑顔にしよう」と思うなら、とにかく親御さんが笑顔でいることを意識していただきたいですね。(後編につづく)
(構成=文筆家・佐々木ののか)