望んでいない仕事をするときに大切なのが、状況に身を任せる、キャリアドリフト(「漂流」の意)の発想です。漂うようにキャリアを重ねているようでも、やりたいことが明確、つまり確固たるキャリア計画があれば、望む仕事に偶然に出合ったとき、チャンスとしてそれを見逃さず取り込むことができる。それが計画的偶発性を取り込む、という発想です。

計画的偶発性を取り込むための条件は(1)事前に計画しておくこと、(2)偶然の多い場所にいること、(3)偶然を好機に変える能力を身につけることです。しっかりとしたキャリアデザインをしたあとは、この3つの条件を意識しながら、キャリアドリフトを前向きに実行することがやりたい仕事をするための近道です。

キャリアデザインをしっかり持ちながらキャリアドリフトを前向きに実行する。やりたくない仕事でも、成功のための学びとして楽しめば、上司への報・連・相も充実してくるはずです。

青山学院大学 准教授 山下 勝
1972年生まれ。神戸大学卒業。同大学院経営学研究科博士後期課程修了。青山学院大学経営学部助教授などを経て現職。著書に『プロデューサーのキャリア連帯』(共著)など。
(構成=齋藤栄一郎 撮影=石橋素幸)
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