マネジメントに専念しづらい上司は、部下にとっての無意味に口うるさい上司になりがちです。今、無意味に口うるさい上司が増えているのには、こうした事情があるのです。それでは部下は上司の無茶な「ガミガミ」にどう対処すればいいのでしょうか。
一番効果的なのは、ひとつ上の上司に頭越しに直訴する方法です。自分の課長が無茶を言うようなら部長に言いつけてしまう。ただこれは、組織論から言えばご法度に近い最終手段。なるべく避けたほうがいいでしょう。
そこで重要になってくるのが、インフォーマルな「斜交(はすか)いのコミュニケーション」。組織上の正式な上下関係ではなく斜めの関係を利用するのです。例えば自分の課長に問題がある場合、よその課の優秀な課長に相談して口添えしてもらうのです。斜交いの関係のうち最も頼りがいのある関係が、過去の部署の上司か先輩です。
ある大手小売企業で、幹部クラスまで出世した人に共通の特徴を30年ほどにわたり追跡調査すると、学歴やIQなどにはあまり共通性がないということでした。ただ1点、共通する特徴があった。
それは初配属先の上司と良好な関係を築いていたという点です。当然、異動などで初配属先の上司とは離れ離れになります。しかし、上司にとっては入社直後に可愛がった部下であり、異動後も飲み会などでインフォーマルな交流が続きます。
部下がその後、よその部署で違う上司とうまくいかなかったときも、初配属のときの上司は斜交いの関係として、よき相談相手になってくれます。斜交いの関係がいかに重要かを示していると言えるでしょう。
逆に言えば、今の上司が嫌だと、同僚に愚痴をこぼし横の関係にばかり依存しても問題は解決しない。上司との関係に悩む部下は、たまには昔の上司と飲みにいって相談してみてはどうでしょう。今の部署の上司や先輩と、インフォーマルな関係を築いておくのも将来、役に立つことかもしれません。