勉強を教える代わりに、塾との「架け橋」になる

では、中学受験において親はどのようにサポートをしていけば良いのか──。

まず、親は勉強を教えない方がいい。親が教えようとすると、必ず感情が乗っかり、「また間違えている!」「なんでこんな問題が解けないの!」とできないことをダメ出しする言葉が増えるからだ。また、高学歴親ほど、できない子供の気持ちが分からないし、何でつまずいているのかその原因に気づかないことが多い。勉強は塾に任せて、潔く身を引くのが賢明だ。

その代わり、子供と塾の架け橋になってほしい。多くの親は「分からなければ塾の先生に質問すればいい」と言うが、小学生の子供にとって「質問しに行く」という行動は、大人が思っている以上にハードルが高い。子供が何かにつまずいているようなら、親は子供が質問しに行きやすいように、塾の先生に「○○の問題が理解できていないようなので、質問に行かせていいですか?」とコンタクトを取ってあげると、子供は質問がしやすくなる。毎回する必要はない。最初だけでも、きっかけを作れば、次第に子供自身で質問しに行けるようになる。

手を挙げる学童
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中学受験における親の役割は「環境を整えること」

中学受験における親の役割は、子供が気持ちよく勉強できるように環境を整えてあげることだ。小学生の子供は、まだ毎日の学習スケジュールを立て、自分の力だけで進めていくことは難しい。でも、すべてを親が決めてしまうのではなく、「明日は何をやろうか?」「テストが近づいているけど、今何の勉強をしておいたらいいと思う?」と子供にも選択肢を渡してあげてほしい。そうやって、「自分で決めた」と感じさせると、やらされ感いっぱいの勉強にはならない。

また、勉強には努力も必要だが、我慢の継続を強いるべきものではない。勉強とは本来、知的好奇心を満たしてくれるものであり、「新しいことを知るのは楽しいな」「できなかったことができるようになるのは嬉しいな」と自発的意欲によって取り組むものだ。中学受験の学びには、小学校では学習しない深い内容がたくさん含まれている。それを大変と思うかもしれないが、学ぶ意欲のある子にとっては、実はとても楽しいものなのだ。