2024年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活部門の第5位は――。(初公開日:2024年3月2日)
朝ごはんは食べたほうがいいのか。医師の大坂貴史さんは「朝食を食べずにいることで筋肉に重要なたんぱく質が1食欠けてしまうデメリットがある。また、朝ごはんを抜くことで昼食後の血糖値が上がり、2型糖尿病の人の血糖変動が大きくなる可能性が指摘されている」という――。

※本稿は、大坂貴史『75歳の親に知ってほしい!筋トレと食事法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

和食の朝食イメージ
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

まとめてよりコツコツ運動したほうがよい理由

運動にしろなんにしろ、コツコツ続けることはとても根気のいる難しいことです。夏休みの宿題も最終日にまとめてやる人もいらっしゃったのではないでしょうか。運動に関しても毎日継続してすることが大切だという考え方があります。

実際、アメリカ糖尿病学会の運動療法のガイドライン(※1)で有酸素運動の項目には「少なくとも週3日以上、中強度(150分以上)か高強度(75分以上)の身体活動を連続して2日以上運動しない日をつくらないこと」となっています。ここではコツコツ運動について掘り下げていきます。

さて、こまめの運動のメリットはなんでしょうか。これはズバリ、血糖値です。運動することによってインスリンが効きやすくなり血糖値が下がるという効果は長続きせず、1、2日ほどでなくなってしまうため、血糖値を下げるための運動としてはまとめてやるよりもコツコツするほうがよさそうと言われています。

とくに食事との関係は重要で、糖尿病をもっている人を対象とした研究ではないですが、食前よりも食後の運動の方が血糖値を下げる効果は高かったとされています(※2)。そのため、糖尿病に限定しないWHOの身体活動に関するガイドライン(※3)ではこの「2日以上運動しない日をつくらないこと」という文言はありません。

しかし、長らくこまめに運動したほうがよいのではないかというイメージが残っていました。

それに対するひとつの答えとして報告されたのが、2022年に発表された研究です(※4)。この研究では35万978人のアメリカの成人に対して自己申告の中等度強度以上の運動の量と死亡率について1週間のうちどのようなパターンで実施されたのかも含めて検討されています。

具体的には週3回以上の運動と週2回以下の運動の2パターンに分けています。約10年間の観察の結果、運動トータルの量が変わらなければ、週3回以上の運動でも週2回以下の運動でもその効果(すべての原因による死亡率の低下、心血管病とがんによる死亡率の低下)には変わりがなかったのです。

つまり、同じ量の運動量であれば、毎日コツコツやろうが、集中してまとめて実施しようが効果が変わらない可能性があるという重要な結果です。