痛風を予防するにはどうすればいいのか。産業医の池井佑丞さんは「食事、飲酒、運動の3つに気を付けて、尿酸を体内に溜め込まないようにすることが大切だ。体を整えると人気のサウナも、多量の汗をかくことで脱水状態になりやすく、サウナ後のアルコールを楽しむことも多いため、痛風を悪化させる可能性がある」という――。
サウナ
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放置すると関節が変形する場合もある

ビールが美味しい季節になりました。宴会の席が多くなるこの時期に、痛風の影を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、春から初夏にかけて発作を起こしやすいとされる痛風についてお話しできればと思います。

痛風は、血中の尿酸値が高いことが原因で、血液中に尿酸の結晶が作られ、その結晶が関節に蓄積して起こる病気です。尿酸が関節に蓄積すると痛風結節や痛風発作を起こしたり、腎臓や尿管に溜まると腎機能の低下や尿管結石症を引き起こしたりします。何らかの症状があるにもかかわらず、尿酸値が高いままの状態を放置すると、再発を繰り返し、重症化していきます。関節の変形に至ることもありますので、健康診断などで血中の尿酸値が高いと指摘を受けた方は特に注意が必要です。

血中の尿酸値が高くなる理由は、尿酸を作り出すプリン体の過剰摂取と、肥満や脱水による尿酸排泄の低下です。生活習慣病すべてに共通することですが、以下の「食事」「飲酒」「運動」の3つに気を付けて、尿酸を体内に溜め込まないようにしましょう。

うどんよりそば、ツナサンドより卵サンドを選ぶ

「食事」

プリン体を多く含む食べ物や砂糖の多いジュースの取りすぎには注意が必要です。プリン体の多い身近な食品には、鶏レバーやサンマ、エビ、マグロなどがあります。ガイドラインでは、プリン体の摂取量を1日400mgに抑えることが推奨されています。

うどんよりそば、ツナサンドより卵サンド、お寿司はイカよりホタテというように、プリン体が少なめの食事を意識しましょう。プリン体含有量の多い食品は1回の食事で50g程度にして、3食のうち1食でも、海藻類、野菜、大豆製品、卵などプリン体が少なめの食材を中心とした食事を摂ると良いでしょう。また乳製品(ヨーグルトや牛乳、チーズ)には尿酸の排泄を促す作用があると言われています。積極的な摂取をおすすめします(山田成巨「乳酸菌接種が尿酸値へ及ぼす影響」Milk Science Vol.65, No.3 2016)。

飲み物については、「清涼飲料等を多く摂取する食習慣は、痛風の発症リスクを1.4~2.5倍高める」という報告がある一方、「コーヒーをよく飲む習慣等は,痛風の発症リスクを20~60%低減させる」という報告があります(藤村新「痛風・高尿酸血症の病態と治療」日本内科学会雑誌107巻3号)。ジュースや清涼飲料水を飲む習慣がある方は、水分補給を水やお茶に変えるよう意識していただきたいと思います。