「焼酎だから大丈夫」ではない

「飲酒」

「尿酸値が高いからビールを控えている」というセリフを飲みの席で耳にすることも多いのではないでしょうか。ビールのプリン体は尿酸になりやすく、体内に吸収されやすいと言われていますが、アルコールそのものに尿酸の排出を阻害する作用があります。焼酎だから大丈夫だと思わず、飲み過ぎにはぜひ注意していただきたいと思います。飲酒の際に合わせてお水を飲むなど、飲み過ぎない工夫をされると良いでしょう。

ビール
写真=iStock.com/nitrub
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「運動」

過度の運動は発作を引き起こす原因の一つです。ウォーキングや水泳など、脈がやや速くなる程度の適度な運動を心がけましょう。また体を整えると人気のサウナも、尿酸を排泄するという目的ではおすすめできません。多量の汗をかくことで脱水状態になりやすく、サウナ後のアルコールを楽しむことも多いため、痛風を悪化させる可能性があります。

20代に痛風が増えているというのは本当か

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2022年には痛風患者数は130万人と報告されており、大半は男性です。また痛風と関係の深い尿酸が基準値以上の方は1000万人いると言われています。患者数は増加傾向にあり、1986年から2016年の30年間において、痛風患者数は約4倍に増加し、男性に限ると約5倍にも増えています。年代別の通院者率では、男性では60〜70歳代に多く見られ、女性では70歳代以降に増える傾向が見られます(箱田正行、笠置文膳「我が国における痛風患者数の今後の動向について」Gout and Uric & Nucleic Acids Vol.44 No.1, 2020)。

今から40年ほど前の1980年代に実施された研究では、痛風の発症年齢は30歳代をピークに40歳代、50歳代、20歳代と続く報告がなされ、痛風発症の若年化が懸念された時期がありました。しかしながら同施設で1990年代後半に実施された調査においては、年代別の最多は40歳代となり、次いで30歳代、50歳代の順との結果が得られています。

別施設で行われた2016~2017年の1年間での発症年齢の聞き取り調査においては、痛風発症年齢の平均は41.9±10.8歳、年齢階級別に見ると40歳代が最も多く36.9%、次いで30歳代が33.8%、50歳代が13.1%、20歳代以下が9.8%という結果が報告されており、1990年代後半以降、痛風の若年化は認められなかったと言われています。[大山博司、大山恵子、諸見里仁、藤森新「わが国における痛風発症年齢の最近の傾向」Gout and Uric & Nucleic Acids Vol.44 No.2(2020)]痛風は働き盛りの男性に多い病気と言えるでしょう。