「普通の人なんですよ、本当に普通」

都知事選後、開票特番での石丸氏の不機嫌なやり取りが波紋を呼んでいたさなかのことだ。とある朝のニュース番組で元知事のコメンテーター氏と同席したので、そっと尋ねてみた。「開票特番で、実際にお話しされていましたよね。石丸伸二という人に対して、どういう感想をお持ちですか? 彼はどういう人間であるとご覧になっていますか?」

すると元知事氏は静かに考え込み、ゆっくりと言葉を選ぶように、だがとても誠実に、忘れられない回答を聞かせてくれた。「彼はね、普通の人なんですよ、本当に普通。なぜあんなに豹変するのか……(考え込む)。演じているのかな、どうしてあんなことするんだろうって、僕にはまだよくわからない」

繰り返される「普通の人」。百戦錬磨の元政治家が発した普通という言葉の中に「(政治家としては)平凡」というニュアンスを感じ取ったのは私の先入観ゆえだろうか。

「今の日本には大谷が必要」

都知事選の石丸陣営、そこになんと無報酬「ボランティアで」選挙プランナーとして関わっていたのが、選挙の神様と呼ばれる藤川晋之助氏だった。

選挙は科学である、として現代の究極の兵法を企てるのが選挙プランナーの仕事だが、その藤川氏がBSフジ「プライムニュース」に出演した際、都知事選を振り返って「石丸という虚像を積み上げた」と発言したことに、私は藤川氏の“科学のプロ”としての優秀さを痛感した。

「この時代の政治に、大谷翔平や藤井聡太が必要だと思ったんですよ。石丸伸二は大谷かな? と思った。だけど私は1カ月しか付き合いがないですからね。実像はまだわかりません」