非野球人間だからひらめく「エラー減らすには練習増ではなく筋トレ」

たとえば「エラーが多い」という課題の場合、単純に考えれば「下手くそだから練習すればいい」という解決策になる。もちろん、それは間違っていないが、守備を上達させるには時間がかかるので、即効性はない。

やりようによっては、守備が下手なままでも守備位置を変える(打者の打球が飛ぶコースをデータ化し、その打者に特化した守備位置にシフトする)だけで、アウトの数が増やせるかもしれない。

身体の動かし方の専門家がその選手の守備を見るのと、野球しかやったことがない人が見るのとでは、守備の巧拙を見るポイントが違う。ある筋肉が極端に弱いためにある動作ができないことで、守備がうまくなれないという発想は、野球しかやったことがない人にはわからない。

吉井理人『機嫌のいいチームをつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
吉井理人『機嫌のいいチームをつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

その視点に基づけば、守備練習をするより弱い筋肉を鍛えるウエイトトレーニングに時間を割いたほうが効果的だという答えになる。つまり、より課題を分解でき、分解した課題はすぐに結果が出そうなものと時間がかかりそうなものとに分類できる。そうしたうえで今はどれに取り組むべきかを選択すればいい。

もちろん、野球未経験者の意見がすべて正しいとは限らない。ただ、間違いを恐れずに意見を自由に出し合う環境が形成されていることが重要だ。この環境がないと、ある側面からの意見しか出ず、課題の解決には至らない。それでは、チーム力を向上させることができなくなってしまう。

【関連記事】
日本一の翌年に大失速…工藤公康がホークス監督2年目で痛感した「私のやり方でやってください」の限界
岩手県からメジャートップ大谷翔平を育て上げた花巻東監督が「野球部から東大合格者」輩出できた納得の理由
なぜホークスを常勝軍団に変えられたのか…名監督・工藤公康が自分に課していた「選手への声かけ」ルール
「夏の甲子園」を札幌ドームで開催するしかない…「日ハムがいない」と恨む前に大赤字の運営会社がやるべきこと
「10個のリンゴを3人で公平に分けるには?」有名な思考クイズをひろゆきが解いたら…答えが斬新すぎた【2023上半期BEST5】