日本車メーカーもうかうかしてはいられない
自動車産業を取り巻く政策も変わる。主要国の経済において、雇用、素材の調達など自動車産業の裾野は広い。経済と安全保障体制の安定に向け、米欧は自国企業を優先し、次にわが国など同盟国の企業を誘致して電動車などの供給網確立を目指すだろう。
一方、中国自動車メーカーの直接投資に関して、米欧が土地の取得や資金の融通などで規制を実施することも考えられる。データ主権、半導体に加え、自動車分野でも米中の対立が先鋭化するリスクはある。
足許発表された経済指標をみると、米国の景気回復ペースは少しずつ勢いを失いつつある。米欧が、中国のEV・車載用バッテリーへの関税の引き上げを実施すれば、世界経済の下振れ懸念は高まる。
世界経済の先行き不透明感が高まる中、わが国の自動車産業は、エンジン車、HV、PHV、EV、FCVなど“全方位型”の事業戦略を推進し、競争力向上を目指すことになる。内外企業との提携などを進め、地産地消体制の整備、電動化、自動運転、充電インフラ開発などで主体的な役割を果たす重要性も増す。それは中長期的なわが国の自動車産業の競争力、景気の展開に重要な影響を与えるはずだ。