会社の利益を守ろうとする意欲が転じて我欲となる
人の背中を押し、良い方向への推進力となる欲望が「意欲」です。「意欲」と「我欲」は紙一重。意欲にできれば、前向きに生きられます。
たとえば、ビジネスで利益を追求するのは当然です。利益を出せない企業は淘汰されます。しかし、他社を犠牲にしてまで自社の利益だけを追求する企業は、そのときはよくてもやがて消えていくものです。
品質偽装やデータ不正、粉飾決算などの不祥事は、企業の致命傷になることは誰でも知っています。不祥事をきっかけに消えていった企業は数多くあります。
企業不祥事を見ていると、不祥事の隠ぺいに大きな問題があることがわかります。つまり、会社の利益を守ろうとする意欲が転じて我欲となっているのです。
“意欲の人”といえば、日本を代表する企業家のひとりである稲盛和夫さんです。
京セラやKDDIの創業者であり、経営破綻した日本航空(JAL)の再建に尽力したことは周知のとおりです。
稲盛さんは、新しい事業やプロジェクトを始めるとき、何度も何度も、時間をかけて自問自答したそうです。
「自分自身や会社の利益だけでやろうとしていないか」、「皆に喜んでもらえるものだろうか」、「10年経っても100年経っても、あれを作ってくれてよかったねと言われるだろうか」
そして、「よし、大丈夫だ」と思ったら、圧倒されるほどのパワーで事業を推し進め、それが数々の成功につながりました。そこには我欲の微塵もありません。