習近平指導部からこの発想は出てこない

また、融資平台の負債は2027年に2000兆円まで膨れ上がることが予想され、放置しておけば深刻である。日本も1990年代にバブル崩壊で経済がひっくり返ったとき、海外からサービサー(債権回収会社)が入ってきて、解決した。

大前研一『世界の潮流2024–25』(プレジデント社)
大前研一『世界の潮流2024–25』(プレジデント社)

そこでブラックロックのラリー・フィンク氏などを呼んで、2000兆円の負債を200億円くらいで買って、30年ほどかけてこれをほどいていく。サービサーがくれば、これが可能なのだ。ただ、その場合は土地の私有化が認められる必要がある。

以上のような4つの方法を実施するには、国際的なオンブズマン組織をつくり、そのような人たちのアドバイスに基づいて実施していく必要がある。習近平氏自身に知恵がなく、中国国内の人材では足りない知識もあると思われるからだ。

私は、中国が抱える問題は解決可能だと考えている。ただ、現在の習近平指導部のメンバーからは解決の発想さえ出てこないだろう。ただし、解決策はあるのだが、安易に手をつけると、習近平氏や共産党支配の否定につながるところに根深い問題がある。

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