共産党体制から「中華連邦」への転換が必要だ
2番目は組織改革に着手することだ。すなわち、共産党による中央集権体制から、中華連邦制、つまり「コモンウェルス・オブ・チャイナ」の形に変える。
具体的には、中国全体を6〜7つの地域に再編し、それぞれに三権の一部を与えるのだ。そうすれば中央政府がすべての問題を解決しなくても、地方政府が地域の問題を解決し、互いに世界から「ヒト」「企業」「カネ」「情報」を呼び寄せるために競い合うだろう。
国の中で競い合い、皆が習近平氏の顔色をうかがう状況から別な視点に持っていく。その方向で組織を変えるのだ。
私はかつて2002年に『中華連邦』(PHP研究所)という本を書いた。中国政府はこの本が気に入らず、「連邦」という言葉を禁止するようになった。当時、中国の政府系シンクタンクである社会科学院の委員が私のところに飛んできた。
「連邦はまずい」「いや、中華連邦ができれば、台湾もそこのグループに入りますから」と私は言った。当時の李登輝総統にも説明し、「中華連邦であれば、北京を盟主にしても問題ないのではないですか」と私が言ったら、彼は「いい」と言ったのだ。
私はそのようなアドバイスをして、大手を振って中華連邦に関する本を書いたのだが、中国側が怒って「連邦」という言葉そのものを廃止にした。社名に「連邦」がついた運送会社も社名を変更させられた。その会社には申し訳ないと思っているが、中国はこのような組織変更はさすがにやらないかもしれない。
共産党独裁を終わらせる
3番目はイデオロギーの転換だ。つまり、共産党一党独裁体制から民主主義国家への転換である。政府の指導者や指導理念を国民が選ぶようにするのだ。
独裁体制から民主化への転換を図った先輩として、台湾にもアドバイスをお願いすれば、台湾を融和的に取り込むことができるだろう。
最後は「一国二制度から一制度(資本主義)への転換」である。
特に土地の私有化の問題については、日本が明治時代に行った廃藩置県と地租改正、さらに第二次世界大戦後にダグラス・マッカーサーが行った農地改革が非常に参考になる。国がすべてを所有しているところに問題があるので、資本主義体制に持っていくというやり方だ。
当然、この中には国営企業の民営化も含まれる。中国の大企業の多くが国有企業であり、非効率な企業も多い。世界各国の国有企業民営化の事例を参考にすべきだ。イギリスなら、鉄鋼や電力、日本ならNTTやJR、JT、郵政の事例がある。