むやみに不安がらずに、野菜を1グラムでも多く食べる
例えば、海外旅行先で現地の水を飲むと、激しい腹痛を伴う食中毒症状が起こる場合がありますが、これは水の中の菌が影響しています。日本の水道水が食中毒にもなりにくく、安全だと言われているのは、きちんと殺菌されているからです。
カット野菜の製造工程で次亜塩素酸ナトリウムが使われる際は、食品衛生法で厳しく使用量が決められているので、体内に入っても問題ありません。それでも気になる方は、食べる前に洗って食べるようにすると良いと思います。
適切に加工されたカット野菜は、食中毒を防止しながら便利さと新鮮さを提供している商品です。むやみに不安がらずに、野菜を1グラムでも多く食べることが重要だと思います。
近年、カット野菜のメーカーでは、野菜の調達に課題を抱えています。
日本では、年間約1000万トンの野菜が必要とされ、その半分以上が外食や加工で使われています。加工業界では原料の価格が特に重視され、安定した量を確保しなければなりません。そのために価格の高い国産野菜から安い輸入野菜への切り替えが増えていて、加工野菜の約30%が輸入野菜であるという現状です。
これに対処するため、各メーカーは販売店や生産者と連携して、野菜の供給体制を作り上げる努力をしています。農家との直接契約で、安定的な量と質の確保と生産地の追跡が可能になっています。野菜が収穫されてから加工工場、店頭に届くまで品質を保ちながら低温で配送する技術も進んでいます。
実際に、あるパッケージサラダメーカーでは、国産野菜をいつでも新鮮な状態で加工するため、季節に応じて契約する産地を変えています。これにより、野菜の供給が安定し、高い品質も確保できているようです。
手軽に健康的な食事ができる、便利なパッケージサラダの需要はますます増えることが考えられます。これからは、便利さだけでなく、安全性や健康に配慮した商品作りが期待されます。
「千切りキャベツ」は日本特有の商品
カット野菜は国によって野菜の種類や特徴が違うのをご存じでしょうか。
日本のカット野菜は1〜2人分と少量のパックが主流で、代表的な生食用野菜はレタスやキャベツ、大根などが挙げられます。最近は商品のバリエーションも増え、ベビーリーフや数種類の野菜をミックスされたものも登場しています。
一方、海外では大型のパッケージが目立ちます。ベビーリーフや色とりどりの野菜がミックスされた商品が特徴で、どの国も洗わずにそのまま食べられると強調されています。日本で見かける「千切りキャベツ」は日本特有の商品で、他の国には存在しません。
例えば、フランスのスーパーマーケットやコンビニでは、日本の2〜3倍のサイズの袋に入ったカット野菜が普通に見られます。パリのスーパーマーケットに行って驚いたのは、一面に広がる冷蔵ケースに、様々な種類のカット野菜が並んでいる光景でした。
家庭での料理が一般的とされているフランスでも、カット野菜が生活に溶け込んでいることがわかります。日本ではあまり見かけない野菜も多く、色鮮やかで新しい野菜を見つける楽しさがありました。
カット野菜は1970年代にアメリカで初めて発売され、1994年以降急速に普及し、その後ヨーロッパにも広まりました。カット野菜の普及には、技術の進歩が大きく関わっています。
特にアメリカは、広大な国土と大きな市場を持つことから、「コールドチェーン」と呼ばれる効率的な配送システムによって、カット野菜の市場が大きく成長しました。
日本では2000年頃から徐々に普及しはじめ、過去10年で購入金額が2.2倍になっていることがわかっています。