欧米では価格が高くても有機野菜を選ぶ傾向

カット野菜の普及は、サラダだけでなく、時代や生活スタイルに合わせた、様々な野菜キットの登場も大きく関係しています。

例えば、野菜炒め用ミックスや、きんぴらごぼう用、鍋物用、鉄板焼き用など、特定の料理に合わせてカットされた商品は、野菜を切る手間がいらず、袋やパックから出すだけで手軽に調理できることで売上を伸ばしています。

これらの便利な野菜キットは、日本だけでなく世界中で人気があります。

特にアメリカではカット野菜の売り場の面積が拡大し、手軽に調理できる野菜キットが数多く並べられています。野菜は透明なカップに詰められ、種類と鮮度が一目瞭然です。

また、家庭用の商品ラインナップは、各国の料理に合わせて充実してきています。特に、異なる野菜が組み合わされたミックス商品は、その国でよく食べられている料理の組み合わせで、多種類の栄養素を一度に摂取できる点で注目されています。

カット野菜キットの良いところは、捨てる部分がなく、調理の手間が省け、調理時間が大幅に短縮されるところです。調理済み食品やインスタント食品に比べて健康的であることから、時間がなくても料理を楽しみたいと願う人にとっては非常に便利な商品です。

家庭料理の酢豚
写真=iStock.com/Yuuji
※写真はイメージです

このように進化を遂げているカット野菜は、健康志向の高まりに応える形で有機野菜を使った商品も増えています。アメリカやヨーロッパでは、環境と健康を考え、価格が高くても有機野菜を選ぶ傾向が強まっています。

カット野菜は、健康的な食事を手軽に摂れるだけでなく、世界の食文化を支えるためにも重要な要素になっています。

便利なカット野菜の裏側

野菜の加工品は、そのまま使えて捨てる部分がないので、効率的で環境に優しいと思われがちです。しかし、野菜をカットして販売されるまでには、製造工程で生じる皮や芯、ヘタなどの野菜くずが大量に出ています。

例えば、キャベツから千切りキャベツなどに加工する際は、キャベツの外葉や芯が利用できないので、キャベツの歩留まりは60~70%程度、レタスであれば40~60%とされています。つまり、1つの野菜の多くは使われずに捨てられていることを意味しています。

特に、芯や外葉には細菌が付着している可能性が高いので、衛生面から必要以上にカットされる傾向にあります。また、多くの現場では、機械が規定の大きさに合わせてカットされるので、切り落とされる部分も多くなります。

こうして出た野菜くずは、多くの加工現場で産業廃棄物として処理しています。産業廃棄物として処理する場合、水分が多いと重量が多くなり処理費用がかさむので、大型の脱水機で水分を出来るだけ飛ばした後に廃棄されています。

加工現場では、毎日トン単位で出る野菜の廃棄部分をいかに処理するかが課題で、取り組みや研究が進められています。野菜の廃棄物を再利用している例をご紹介します。