ナス科の野菜でアレルギーを引き起こす理由

ここからは、野菜が原因で引き起こすアレルギー症状について説明します。

現在食用されている野菜の中には、ナス科のものがいくつかあります。主に、なす、トマト、じゃがいも、ピーマン、パプリカ、とうがらしなどです。あまり知られていないものとして、クコの実や食用ホオズキもナス科の仲間です。

これらの野菜のうち、特になす、トマト、じゃがいも、ピーマンは日本人が好きで料理にもよく使われています。旬は初夏から初秋にかけてですが、今は季節関係なく手に入るので、料理にはなくてはならない食材となりました。

ナス科の野菜には、食中毒に似たアレルギー反応を示すものがあるのをご存知でしょうか。これは、ナス科の野菜に含まれるアルカロイドという物質で、医薬品にも使われているものです。この成分はもともと天然に備わっているので、個体によっても成分量に差があります。

アルカロイドは有益な効果をもたらす一方で、個人的な要因によって有害に働く場合も少なくありません。

ナス科の野菜に含まれるアルカロイドの1つはソラニンです。

昆虫やその他の外敵から身を守るための防御システムとして働き、光を浴びると生成されやすくなります。じゃがいもの皮や芽に多く含まれ、収穫後のじゃがいもの表面が緑色になるのも、このソラニンが原因です。

芽の出たジャガイモ
写真=iStock.com/Beata Haliw
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緑色のトマトの食用は避ける

ソラニンは人体に有毒となる可能性があり、皮が緑色になったじゃがいもを食べたことによる食中毒は、毎年夏に多く起こっています。

ソラニン中毒の症状には、吐き気、嘔吐、下痢といった胃腸の問題が多いのが特徴です。じゃがいものソラニンは、地表に出て光を浴びた部分や、未熟な実や芽に多く含まれています。

よく小学校の授業で、未熟な状態のまま掘り起こしたじゃがいもを窓辺に並べ、太陽の光を当てていることがありますよね。

これは、わざわざアレルギーを引き起こす原因を作っている行為です。特に体の小さな子どもにとっては深刻な被害になりかねないので、周知を徹底させることが必要です。

じゃがいもに含まれるソラニンとよく似た構造を持つ成分に、トマトが生成するトマチンがあります。

これはトマトが青く未熟な時期に多く生成され、完熟になるとなくなります。未熟なうちに外的に攻撃されないよう、毒性のある物質を生成していることがわかっています。

トマチンによる食中毒では、嘔吐や下痢を引き起こし、不整脈や呼吸困難になることもあるので、緑色のトマトの食用は避けるのがいいでしょう。

ナス科の野菜に含まれるアルカロイドのもう1つに、ニコチンがあります。これはタバコなどに含まれる成分と同様のものですが、ナス科の野菜に含まれるニコチンは、タバコのそれと比べると濃度は大幅に低いので、それほど心配はいりません。