脳内では本能と理性が葛藤している
これら3つの脳の違いを身近な例で説明しましょう。
たとえば、目の前に大好きなスイーツを置かれたとします。
爬虫類脳は、「食べ物が目の前にあるのだから食べよう」と、大好きかどうかはあまり関係なく、躊躇なく食べようと判断します。本能として食べることを選ぶのです。
哺乳類脳は「このスイーツ大好き、絶対食べたい!」と判断し、自分がそれを好きかどうかという感情が行動に影響します。以前に食べておいしかった記憶や、「○○ちゃんと一緒に食べたい」といった気持ちも、さらに判断に影響を及ぼすと考えられます。
ここで「食べる」という判断に待ったをかけるのが、人間脳です。
人間脳は、「今、ダイエット中だよね」「健康のためには、ここは我慢したほうがいい」と、自分が欲望のままに突き進むことをいさめ、「食べない」という行動を選んだりします。理性的な判断ができるのは、人間脳が働いているからなのです。
「食べたい」という本能と「食べるべきではない」という理性の葛藤。一人の人間の頭の中でこのような調整が行われているわけです。一言で「脳」といってもさまざまな部位があり、異なる役割を担っています。3つの脳に分けて考えてみると、そのことがイメージしやすいのではないでしょうか。
嫌いな相手に会うと不快を感じるメカニズム
さて、脳の中で私たちの感情を作っているのは、大脳辺縁系の「扁桃体」という部分だと言われています。扁桃体は外からの刺激を受け取ると、それを過去の記憶と照らし合わせて、「好き・嫌い」や「快・不快」「安全・危険」などを判断します。
たとえば、嫌味を言われて嫌な思いをさせられた相手に会ったら、不愉快な気持ちになりますよね。これは、脳が過去の記憶と照らし合わせることで「不快」という感情を抱かせているわけです。
しかも、扁桃体はストレスを受けると、ネガティブな感情を高めやすいとも言われています。最初はちょっとしたイライラだったのがだんだん大きくなり、相手に対して攻撃的になったりするのは、扁桃体の暴走が原因かもしれません。