トヨタへの強いシンパシーを公言

世界におけるEV市場は、EVよりもハイブリッド車(HEV)の方が伸びているなど、近年の予測よりも成長速度は鈍化しているものの、市場規模の拡大は堅調に続いている。国際エネルギー機関(IEA)は、2035年には世界の新車販売の5割以上がEVになる、という予測を発表している(※25)

かつての「Made in Japan」のような垂直統合モデルによるものづくりで、これから世界を開拓していくBYDは、トヨタへの強いシンパシーを公言している。「電気自動車を世に問うていった時のわれわれの心境は、1965年のトヨタと同じ心境でした。当時のトヨタは、自分たちはアメリカ市場で通用するのかという不安を抱えたまま、乗り込んで行きました。実際、アメリカ人は当初、日本の自動車メーカーに疑心暗鬼でしたが、やがて受け入れました。同様に、わが社の電気自動車も、やがて世界が受け入れてくれる日がくると信じています」(※7)。新たな大衆車として、EVを世界に売り込んでいくBYDは、「中国のトヨタ」として世界からさらなる注目を集めるだろう。

【参考文献】
※1 AFPBB News「BYDがテスラを抜いてEVシェア世界一に マスク氏がコメント」を参照。
※2 AUTOCAR JAPAN「BYDを抜き『世界一』へ テスラ、第1四半期で生産台数43万台超 予想下回るもライバル追い抜く」を参照。
※3 BYD Auto Japan「BYD 2023年の年間販売台数が過去最高となる300万台超え 世界の新エネルギー車(NEV)市場を大きくリード」を参照。
※4 トヨタ自動車「BYDとトヨタ、電気自動車の研究開発合弁会社『BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社』が発足」を参照。
※5 ダイヤモンド・オンライン「テスラを猛追!『EVの新王者』中国BYD、新車ドルフィンは300万円を切るのか?」を参照。
※6 Forbes JAPAN「中国のEVメーカーBYD創業者が語る『テスラを追い抜けた理由』」を参照。
※7 JBpress「日本市場に乗り込んできた中国『BYD』、痛感せざるを得ない歴史の変わり目」を参照。
※8 中華IT最新事情「株価158倍の神株『BYD』。EVシフトの追い風に乗る中国版テスラ」を参照。
※9 Science Portal China「王伝福-中国電気自動車産業のパイオニア」を参照。
※10 現代ビジネス「自動車業界の覇権争いを制するのはどこか…トヨタが中国『BYD』に屈する日」を参照
※11 日経XTECH「館林の金型メーカーがBYDと歩んだ12年、『いい判断だった』TMC社長」を参照。
※12 EV DAYS「BYDの電気自動車(EV)」を参照。
※13 Bloomberg「BYDが新型プラグインハイブリッド車発表、航続距離2000キロ超え」を参照。
※14 36Kr Japan「中国BYDの高コスパEVは『米国には作れない』 車両の分解で明らかにされた驚きの理由」を参照、および引用。
※15 Seizo Trend「なぜBYDは世界を獲れた?『BYD・テスラ・VW』3車分解比較で判明、圧倒的コスパの秘密」を参照。
※16 中華IT最新事情「欧州EV市場は中国とテスラに侵食される。UBSの衝撃的なレポート」を参照。
※17 BYD Auto Japan「【特集】BYDの電気自動車(EV)はなぜ優れているのか?」を参照。
※18 現代ビジネス「『テスラ』を猛追…中国『BYD』を率いてEV世界制覇を目指す、『電池大王』の正体」を参照。
※19 ShinDengen「中国における電気自動車の普及率と売れている理由 日本での取り組みも紹介」を参照。
※20 KDDI research atelier「研究員コラム もう海外ブランドは選ばない、中国消費者たちの国産ブランド回帰 ~国産ブランドの爆発的集客策~」を参照。
※21 BYD Auto Japan「BYD DOLPHINが『Best Buy Car of Europe 2024』を受賞」を参照。
※22 日本経済新聞「BYD、欧州攻略へ自動車船 2年で7隻追加」を参照。
※23 BYD Auto Japan「ハンガリーに欧州初のBYD新エネルギー乗用車工場建設へ」を参照
※24 Reuters「BYDが25年に欧州2カ所目の組立工場建設を計画 低価格車投入」を参照。
※25 日本経済新聞「世界のEV販売、2035年に新車の5割超 IEA見通し」を参照。

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