社名をchocoZAPに変えることはない

おかげさまで2022年7月にスタートしたchocoZAPは好評をいただいています。2024年5月時点で会員数は120万人を突破しました。

このサービスを始めたきっかけはコロナ禍でした。ご記憶にあるかと思いますが、フィットネスクラブが、三密の代表的な場として槍玉に挙げられました。

それでも何かしらの事業は継続しなければならない。そこで生まれたアイデアが、コンビニ形式の無人フィットネスクラブでした。

AIが発達し、スマホが普及した現代なら、フィットネスクラブは無人でも成り立つのではないか。ポストコロナのニーズに合ったスタイルなのではないか、と考えたのです。

しかしトレーナーは、フィットネスクラブの根幹です。お客さまは信頼するトレーナーがいるから、フィットネスクラブに足を運ぶ。だからこそ、RIZAPではトレーナー育成に力を入れてきました。その一方で、大量に出店しようとすると人材の確保と教育が追いつかないという課題も抱えていた。

トレーナーがいないフィットネスクラブでも勝算がある。そう確信できたのが、RIZAPを利用した18万人のお客さまの存在です。

どうしたら挫折せずに結果が出せるのか。トレーニングを継続するために何が必要か……。ぼくらには、お客さま一人一人のトレーニング方法やトレーナーの指導法や声かけなどを蓄積し、検証したメソッドがあります。chocoZAPでは、18万人分のデータを分析したトレーニングマニュアルがあり、配信やオンラインでトレーナーに指導を受けることができる仕組みを構築しました。

もちろんCMの効果もありました。大胆かつ緻密な広告戦略はchocoZAPにもいかされています。

ライザップがなければchocoZAPは生まれていません。トレーナーたちがいたから今がある。ライザップに誇りを持っていますので、社名をchocoZAPにすることはありません。

オフの日には本を読んでインプットするのが日課。取材時、読んで面白かった本を問うと、「普段ノンフィクションはあまり読まないんですが、『怪物に出会った日』(講談社)は面白かったです」。
撮影=高須力
オフの日には本を読んでインプットするのが日課。取材時、読んで面白かった本を問うと、「普段ノンフィクションはあまり読まないんですが、『怪物に出会った日』(講談社)は面白かった」。

なぜジムにセルフネイル機があるのか

chocoZAPにはフィットネス以外のサービスもあります。「セルフホワイトニング」「セルフネイル」「カフェ」「セルフ脱毛」「マッサージチェア」「ワークスペース」、さらに最近では、「カラオケ」「洗濯・乾燥機」「キッズパーク」や提携医療機関でMRI検査やCT検査が受けられる「chocoZAPメディカル」等の導入も発表しました。

なぜこのようなサービスを付けたのかというと、これをきっかけに運動する習慣をつけてほしいとういうのもありますが、大きく言えば新しいライフスタイルを構築したいという思いがあります。われわれがいる世界といない世界があったとして、いたほうがより良い世界になっているというふうにしたいんです。

国別幸福度ランキングでは日本は47位(取材時)と諸外国に比べ低い。社会の幸福度を、いかに上げていくか。それは、新しいライフスタイルをいかに提供し、1人1人が自己実現をどう行っていくか、という問題意識につながります。しかし従来の手段を踏襲しているだけでは、新しいライフスタイルの創出はできません。

今年2月の決算説明会では、1万店以上のchocoZAP出店を目標に掲げました。ふだんぼくは具体的な数字を出すことは少ないのですが、実現は可能だと思っています。chocoZAPが増えれば、誰もが気軽に運動できる環境が生まれます。

現在、日本人のフィットネス参加率は3.3%です。私はchocoZAPを通じて、まずは20%まで高めることを目指します。それは、日本全国で2400万人がフィットネスジムを利用することを意味します。

そうすれば、たくさんの人たちが心身を健康にし、そして活力ある社会の創出につながるはずだと考えているのです。

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