高校時代の苦い思い出

RIZAPはフィットネスの会社と思う方が多いかもしれません。でも、フィットネスは手段でしかない。目標はお客さまの自己実現です。それを通じて幸せを感じてもらいたいんです。決して低糖質やパーソナルトレーニングを広めようとしているわけではないんです。

多くの人が「健康診断の数値に異常がない=健康」と捉えています。でも本当の健康とは、心身の活力があり、毎日の暮らしや仕事に前向きになり、自己実現できることでしょう。つまりフィットネスやダイエットは、自己実現の手段の1つと言えるのです。

そう考えるようになったきっかけは高校時代にあります。

当時、身長が150センチくらいで、体重が70キロ近くある女性から告白を受けました。ある日、そんな彼女から「ダイエットしたい」と相談されました。一緒に走ったり、体重が落ちないときは「輪郭が昨日とはぜんぜん違うから」と励ましたりしました。すると3カ月で42キロまで体重が減り、見違えるほどキレイになった。

キレイになったのは、外見だけではありません。明るくなって、気持ちに余裕ができたからか、汚かった部屋をきちんと片付けるようになった。彼女はダイエットにより、自信が持てて、自己肯定感をえられたのでしょう。ダイエットによって、生き方が変わる。それをはじめて目の当たりにしたわけです。

その後、大学生の彼氏ができたと振られてしまうのですが……。RIZAPにも負けない結果を出した自負があります。

「ライザップ成功のためには何でもやりました。広告のテストだけでも、数えきれないくらい試行錯誤しました」
撮影=高須力
チョコザップ人気の背景には、膨大な数のチラシやWeb広告のA/Bテストといったマーケティング施策があったと話す。

この仕事をしている一番のご褒美

ただ、ダイエット中の彼女はコンニャクばかり食べ、たまにお菓子を口にすると罪悪感にさいなまれていました。とてもツラそうでした。もっと前向きにダイエットができる方法はないか。ないなら、つくれないだろうか。RIZAPの原点にはそんな経験があります。

RIZAPという事業を通じて、一番うれしいのは、お客さまのライフスタイルの変化を目の当たりにすることですね。ダイエットに成功し、出会いがあって結婚したり、新たな趣味を見つけたりする……。

人の役に立っている、自分たちが社会の役に立っているという実感を持つことは、私を含めスタッフの自己肯定感を上げてくれます。それがこの仕事をしている一番のご褒美なのでしょうね。事業を続けるのは、金銭ではなく、新しいライフスタイルを提供したいという社会貢献的な思いがあります。

昔は、ビックカメラなどに行ってあれが欲しい、これがいいなとか買い物をするのが楽しみでしたけど、今は特に欲しいものがないんですよね。商品そのものよりも、それを手に入れるまでのプロセスが楽しいのだなと今は思います。